サポートを受ける

お電話でのご登録・ご相談も承っております。

フリーコール 0120-842-862

月~金曜(祝・祭日を除く) 9:00~18:00

  1. 保健師 求人・転職TOP
  2. 保健師のお役立ち情報
  3. 【保健師】業界情報
  4. うつ病と並ぶ現代人の病「統合失調症」について、今保健師にできること・求められること。

【保健師】業界情報うつ病と並ぶ現代人の病「統合失調症」について、今保健師にできること・求められること。

2016年03月10日

こんにちは、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームです。

うつ病に比べると「統合失調症」は、さらに理解されづらい病気です。
うつ病も統合失調症も周りに理解されにくいという点から、病気の発見を遅らせたり解決されにくい状況を生んだりしています。

産業保健師は、うつ病と統合失調症の違いを十分理解するべきですし、統合失調症の方とその職場にいる人たちに対し適切に対応することが求められています。

統合失調症について、またうつ病と統合失調症の違い、統合失調症に対して保健師にできることは何かをお話しします。

保健師の求人・転職特集はこちら

統合失調症の現状
患者数や原因について

厚生労働省の調査によると、統合失調症もしくはそれに近い診断名で受診している患者数などから、現在受診中の人は79.5万人と推定しています。
日本では正確な数字がわかりませんが、世界各国の報告によると「生涯のうちに統合失調症にかかるのは人口の0.7%」と考えられています。
発症は10代後半~30代に多く、中学生以下の発症はなく40代以降に減っていく傾向にあります。

厚生労働省「統合失調症 患者数」参照新しいウィンドウで開きます

原因は今のところ明らかにはなっていませんが、進学・就職・独立・結婚などの人生の岐路が発症の契機となることが多いことがわかっています。

また統合失調症は、2002年までは「精神分裂病」と呼ばれていました。
この病名が人格を否定するようで本人にも伝えにくいということから、呼称を変更する動きになりました。
このことからも「統合失調症」が、まだ理解されにくい病気であることがわかります。

統合失調症の症状
幻覚と妄想について

保健師が統合失調症の方と関わるためには、症状についても知っておくべきでしょう。
統合失調症の二大症状として、幻覚と妄想があります。
幻覚とは、「実際にはないことが感覚としてあらわれること」です。
もっとも多いのが聴覚に関することで、批判するような声が聞こえたり命令する声が聞こえたりといった内容になります。
一方妄想とは、「明らかに誤った内容であるのに信じてしまう」ことです。
たとえば街ですれ違う人が自分を襲ってこようとしている、警察が自分を尾行しているなどと考えてしまいます。
また、本人が信じ込んでいるため、周りがいくら幻覚だと伝えても聞き入れられない状況になっています。

統合失調症の治療法
薬物療法と心理社会的治療

統合失調症を治療するには、医師の力が必要です。
外来もしくは入院して治療します。
一般的には外来で治すことが多いようですが、「患者さん本人が入院を希望している」
「幻覚や妄想が激しく日常生活が困難である」場合などは、入院しての治療が適切だと判断されるようです。
実際には薬物療法と心理社会的治療を行いますが、これはどちらかを行うのではなく両方を適切に行うことが必要です。
特に幻覚や妄想が強い急性期には、薬物療法が不可欠になります。

ここまでは統合失調症についてお話ししました。
次は「うつ病と統合失調症」の違いについてお話しします。

うつ病と統合失調症
統合失調症には重大な症状が

うつ病と統合失調症は、どちらも心の病気です。
しかしうつ病が「前向きな性格」の人に多いのに対し、統合失調症は「後ろ向きな性格」の人に多いといわれています。
周りに気を使い周りのペースに合わせようとするが、うまくいかず自分のペースを崩してしまうのがうつ病の特徴。
周りのペースに巻き込まれ、人に頼んだり断ったりすることが苦手で自分のペースで生活できないと悩むのが統合失調症の特徴です。

そして、うつ病になく統合失調症に起こる大きな症状が、先ほどもお話しした「幻覚と妄想」です。
周囲の人が自分を見ている気がする、常に人につけられている気がするなど、本人には現実としてうつるが実際には起こっていないことなので、対応が難しいことのひとつです。
「幻覚や妄想」は覚せい剤の使用によっても起こることがわかっていますから、その点でも周りから理解されにくいかもしれません。

保健師はその点についてもしっかりと理解し、対応していくことが必要になります。

保健師はどうケアする?
統合失調症の患者に対して

統合失調症を治療するのは、基本的に医師の役目です。
しかし通院しながら治療する場合、保健師が関わる場面もあるでしょう。
そんなとき、どのような対応をするべきなのでしょうか。

まずは「病気の辛さを理解すること」。
統合失調症は理解されにくい病気ですが、保健師は病気について深く学び相手を理解する気持ちが必要です。
次に「批判的なことをいわないこと」。
相手を思ってのことだとしても、批判的なことや非難がましいことをいわれるのは、患者さんを傷つけます。
小さなことでもよい面をみつけて、それを認めることを言葉にすることも大切なようです。

統合失調症の人に対して
また職場の人に対して

統合失調症の人を対応するにあたり、病気の人自身をケアするだけではなく、周りの意識を変えていくことも大切です。
最初にお話ししたように、統合失調症はうつ病よりも理解が深まっておらず、周りの対応によって病気を進行させることにつながっている場合があります。
また「幻覚や妄想」といった症状がでることから、さらに周りとの溝を深めてしまう可能性もあります。

そこで産業保健師や産業医はプロの立場から、双方に働きかける必要があるのです。
厚生労働省の働く人のメンタルサポート「こころの耳」のページでは、統合失調症の事例をいくつか紹介しています。
こちらをしっかり読んでいただくことも、理解を深めるひとつの手段になるでしょう。

厚生労働省こころの耳「統合失調症に関するページ」参照 新しいウィンドウで開きます

事例より
統合失調症になった45歳の男性は、元々口数が少なく周りとの交流をしない性質でした。
変わり者として扱われて、就労能力もあまり高くないことから、無断欠勤などが増えていったといいます。
そこで産業医が介入することになったのですが、そこで始めてその男性は、幻覚や妄想といった症状が現れる統合失調症であることが判明したのです。
産業医のみたてでは「残業時間が多くなると服薬が不規則になるため、疲労が強くなり症状が悪化する可能性があること、また、一度に多くの情報を処理することが苦手であるため、突発的な対応がない自分のペースでできる業務が適応しやすいだろう」ということでした。
男性自身にも病気であることを理解してもらい、職場の人たちにも病気のために起こっていたことなのだと理解してもらうことで、職場復帰を成功させました。

この事例では産業医の働きかけが大きかったようですが、それをサポートする産業保健師の存在も重要です。
保健師のみなさんはぜひ、統合失調症という病気についての理解を深めていただければと思います。

統合失調症のケア
保健師一人で抱え込まないこと

統合失調症は周りには理解されにくい病気であるため、患者さんも家族を含めた周りの人も治療にあたっては苦しむことも多くなります。
しかしケアをする保健師も、それは同じことです。
統合失調症者に対する保健師の訪問についての調査があるのですが、病気の特性ゆえの難しさがあることがわかっています。
保健師だからといって一人で抱え込まず、医師や周りの人と一緒にケアできるよう体制を整えることも必要なのではないでしょうか。

北海道大学「統合失調症者に対する保健師の訪問回数判断の困難要因」参照 PDF

厚生労働省みんなのメンタルヘルス「統合失調症」参照 新しいウィンドウで開きます

保健師専門の転職サポート!30年の実績!

転職サポートに登録(無料)

お役立ち情報TOPへ