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産業保健師インタビュー

産業保健での主体は 企業の根幹資源である「社員」。
対象者を全人的に捉え「健康」に関わっていくことが重要です。

産業保健師 村山 亜矢子 様

看護大学卒業後、国立系列病院で看護師業務に3年従事した後、大手通信企業の健康管理センターにて産業保健師として勤務。都内市役所健康課では、保健師として女性の健康推進事業、生活習慣病予防事業に従事。その後東京大学大学院医学系研究科へ入学、修士課程を修了したのち産業保健師として大手通信機器メーカー入社。臨床、行政、産業保健と幅広い経験と知識を持ち現職でも活躍中。現在、大手企業健康管理センター立上げに従事。

産業保健師として大切なこと

メンタルヘルス不調者への対応では、社員の不安軽減を第一に考えています。一般的に産業医の勤務形態は月数回の出社というサイクルが多く、フォローされている社員からすると医師不在時の不安感が非常に強いものとなってしまうのです。そこで産業医と産業保健師の業務分担をしっかり行い、産業医は社員の状態をもとにした就業制限などのジャッジ、私たち産業保健師はそれ以外の経過観察や精神面の支援というように職務間の協業にて社員を常にサポートできる体制をとっています。

また産業保健分野で活躍中の方々はちょうど子育て世代にあたるかと思いますが、私も2人の子どもがおり効率的に業務をこなすスケジューリング能力も必要となってきます。まず月単位の業務を洗い出し優先順位づけを行います。それを週単位に落としていき定時までの時間から逆算して仕事をしていくという方法を取っています。もちろんメリハリもつけ今日は定時で退社するけれど明日は少し残業しよう、など週内で調整をつけたりもしています。

情報収集能力も必要ですね。定時後や土日に実施される外部セミナーへは月4~5回参加し、産業保健分野でホットなテーマ、興味があって業務で必要なテーマなどを常に吸収できるよう心がけています。当社はセミナー参加や情報収集に対し非常に理解があり、産業衛生学会などの学術集会は勤務時間内の参加も可能で産業保健師として非常に嬉しいところですね。

現在、統括産業医1名と協働しながら健康管理センターの立上げを進めている状況です。社内にある資源を活用し、皆が一丸となって健康経営に向かっていけるような仕組みづくりができたらと考えています。

私たちがフォローするのは就業者ですが、その方の健康を考える際、仕事のことだけを調整すれば良いのではなく全人的に観察しなければなりません。最終的に介入できるのは結局仕事の面だけにはなってしまいますが、そのひとつの点だけから捉えるのではなくそれ以外の私生活や、仕事の問題にしても業務の量なのか質なのか、また職場の人間関係なのかというように全体的に捉え「いち」人間としてその方の健康に関わっていくことが重要です。

産業保健を目指す方々へ

私は卒業当時から産業保健を志しており、臨床は3年と決めていましたので皆さんとは異なるかもしれませんが、病院に勤めていた頃を振り返ってその頃からやっておけば良かったなと思うのは予防医療での「正常値」の把握です。病院でいうところの正常値の感覚と、健康に就業する方の正常値、つまり予防医学と疾病医学とでは全然違うんですね。この差をしっかり認識しておくことが大事だと思います。

病棟と産業保健との大きな違いは、「誰が主体か」ということです。病院で勤務しているとき患者さんは治療するためだけにそこにいて、医療者側のペースですべて作業を進めることができました。一方、産業保健での主体はあくまでも「社員」。できるだけその方の仕事の支障にならないよう、またその方の人生観を優先して進めていかなければならないのです。

また「調和」を取れるか、というのも重要な点になります。産業保健では社員の皆が健康で就業を継続するという目的がありますが、そうは言っても企業である限り最優先すべきは利益。その利益優先の行動指針の中、無理強いにならないような健康維持、増進の提案を自分から考え、業務の妨げにならない調和中心の提案・行動をしていくことが必要です。

そして今もし「どういう人と仕事がしたい?」と聞かれたら、「自分から能動的に動ける方」と答えます。疾病への対応と違い産業保健の仕事には明確な正解というものがありません。今まで経験したことのない分野にも挑戦でき何事にも一人称、「自分」が主体となってどう動かなければいけないかを常に意識して行動できる方が望ましいですね。

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