【保健師】仕事内容・役割保健師と助産師の明確な違いは?年収や向いている人の特徴を解説
公開日:2015年11月19日
更新日:2025年01月24日

こんにちは、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームです。
「保健師と助産師の違いは何?」
「保健師と助産師って年収に差はどれくらいあるの?」
「助産師から保健師に転職したいけど、本当に向いているのかな」
このような悩みを持つ人のために、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームが疑問解決につながる記事を執筆しました。
保健師や助産師としてのキャリアに興味があっても、どちらが自分に向いているのかがわからず、お悩みの方は多いのではないでしょうか。
保健師と助産師は、ともに看護師の資格を持っていることが前提で取得できる国家資格です。しかし、対象とする人・業務内容・勤務形態に大きな違いがあり、年収に差が生じる可能性があります。
本記事では、保健師と助産師の違いや年収の差などを詳しく解説します。どちらがご自身の興味や希望するライフスタイルに合うか検討してみましょう。
目次
- ・そもそも保健師と助産師の定義とは?
- ・保健師と助産師の違いを5つの角度から見てみよう
- ・保健師と助産師の年収の違いは?
- ・保健師と助産師でキャリアパスや開業の可能性に違いはある?
- ・保健師と助産師それぞれの職種への転職について
- ・保健師・助産師に向いている人の特徴はある?
- ・保健師か助産師迷った時の対処法
- ・まとめ|保健師・助産師の違いを踏まえて自分にマッチした職種を選択!
そもそも保健師と助産師の定義とは?

まずは、保健師と助産師の定義をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
保健師
保健師の定義は、保健師助産師看護師法の第2条で次のように定められています。
「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。
保健師は、厚生労働大臣の免許を受けた専門職です。地域社会や職場の健康を支える役割を担っており、主に健康増進や病気の予防のための保健指導をおこないます。
助産師
助産師の定義は、保健師助産師看護師法の第3条で次のように定められています。
「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。
助産師も保健師同様、厚生労働大臣の免許を受けた専門職です。妊娠や出産後のケアはもちろんのこと、出産時のサポートや実際に生まれた新生児のケアなど、さまざまなステージで母子の健康管理に携わります。
保健師との大きな違いは、業務内容に加えて、女性のみが取得できる点です。
保健師と助産師の違いを5つの角度から見てみよう

保健師と助産師の違いを、下記の5つの角度から見ていきましょう。
- 対象者
- 勤務先
- 業務内容
- 資格取得の条件
- 就業時間と勤務体制
対象者
保健師が対象とする相手は、新生児から高齢者まで幅広い年齢層の人で、性別も問いません。個人だけではなく、地域社会全体や会社全体など、対象者の幅も広いです。幅広い対象に対して、それぞれの健康課題に合わせた健康指導などを実施します。
一方で助産師の対象は、妊婦や出産を考える女性や新生児などに限られます。妊娠や出産を支える父親に対して指導をすることもありますが、基本的な対象は、妊娠や出産をむかえる女性とその子どもです。
業務内容
保健師の業務内容は、健康増進や疾病予防に向けた健康指導などを実施することです。具体的には、次のような業務をおこないます。
- 乳児検診
- 生活習慣病予防のための指導
- 認知症予防のための活動
- 感染症対策
- 職場の健康診断のフォローアップ など
地域住民や会社の従業員などの健康課題を見つけ、健康増進や疾病の予防のために必要な取り組みをおこないます。
一方、助産師の業務内容は、妊娠・出産・産後のケアに特化しています。具体的には、次の通りです。
- 妊娠中の健康相談
- 胎児の成長の確認
- 出産時のサポート
- 新生児の健康チェック
- 出産後の女性の健康管理
- 母乳指導 など
妊娠・出産・産後の健康管理だけでなく、精神的なフォローも助産師の重要な仕事です。女性が安心して出産をむかえられるようサポートします。
勤務先
保健師の主な勤務先は、市区町村・保健所・病院や診療所・企業です。厚生労働省が出している「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、保健師の68.7%は市区町村や保健所で勤務しており、行政機関での就業が多い傾向にあります。
しかし、健康問題に対する事前予防や企業の従業員の健康に対しての意識の変革などによる社会背景の変化によって、医療機関や企業での保健師の需要も増えてきています。
助産師の主な勤務先は、病院や診療所・助産所、市区町村です。厚生労働省の同調査によると、助産師の83.7%が病院や診療所で働いています。
資格取得の条件
保健師、助産師ともに、看護師の資格があることが条件です。看護師の資格を取得したうえで、保健師養成課程や助産師養成課程(通常1〜2年)を修了し、国家試験に合格する必要があります。
保健師・助産師の資格を看護師の資格と同時に取得する場合には、通常4年制の看護系大学への進学が必要です。学校によって、保健師や助産師の資格が取れるかどうかは異なるため、詳しくは学校に問い合わせてみてください。
なお、看護師の資格取得に性別の制限はないことに対して、助産師の資格は女性のみと制限されています。
就業時間と勤務体制
保健師は、行政機関や企業が主な就業先であるため、規則的な日勤の勤務が多いのが特徴です。土日や祝日は休みになったり、夜勤がなかったりするため、家庭や子育てとの両立がしやすい傾向があります。
ただし、災害や感染症など緊急事態が発生した場合には、時間を問わず働かなくてはいけない場合もあります。
一方で助産師は、病院や診療所が主な就業先であるため、24時間体制のシフト勤務が一般的です。出産は時間を問わないため、夜間・休日の勤務や緊急時の呼び出し対応があります。
保健師と助産師の年収の違いは?

保健師と助産師は、業務内容や勤務先などの条件の違いにより、年収に大きな差が生じる場合も少なくありません。
一般的に保健師は行政機関や企業で働くことが多く、安定した給与体系が特徴的です。その一方で、助産師は、病院やクリニックでの勤務が多く、1カ月の中で夜間対応などによっても給料が異なる特徴があります。
それぞれの年収について、詳しく見てみましょう。
保健師の平均年収
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、2023年の保健師全体の平均年収は451万500円です。しかし、あくまでも平均であるため、勤務先・経験年数・働く地域によって年収は異なります。
保健師の仕事は規則的な勤務の場合が多く、生活リズムを保ちやすい一方で、夜間対応や休日出勤が少ない傾向です。夜間対応や休日出勤による手当での給料変動がないため、保健師は、通年安定した給料を得られます。
出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」表1
※きまって支給する給与額の12カ月分と、年間賞与その他特別給与額の合計で算出
助産師の平均年収
厚生労働省の同調査によると、助産師の平均年収は566万9,500円です。助産師についても保健師と同様で、勤務先や経験年数によって年収は異なりますが、平均的な年収は保健師に比べて100万円以上も高くなっています。
保健師と比べて年収が高くなっている理由としては、出産にかかわる業務で、夜間や休日に出勤しなくてはいけない場合も多いことが背景にあると考えられます。
出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」表1
※きまって支給する給与額の12カ月分と、年間賞与その他特別給与額の合計で算出
保健師と助産師でキャリアパスや開業の可能性に違いはある?

保健師や助産師はそれぞれ医療分野における専門職です。しかし、業務内容が大きく異なるためキャリアパスや開業の可能性については異なります。
ここでは、保健師や助産師のキャリアパスや開業の可能性を詳しく解説します。
保健師のキャリアパス
保健師は、勤務形態が規則的なことが多く、ライフステージの変化に合わせて長期的に働きやすい傾向があります。
具体的に、保健師のキャリアパスの例を見てみましょう。
- 地域に密着して住民の健康課題に取り組み、地域全体の健康政策に携わる
- 企業において従業員の健康課題に取り組み、職場全体の職場環境を整える役割になる
- 保健指導の経験を積み、教育機関で保健師の養成に携わる
保健師は、市区町村や保健所での就業も多くあるため、行政へ携わることも選択肢のひとつです。基本的に公的機関が主体となっておこなう事業にかかわる仕事が多いため、個人で開業する機会は限られます。
助産師のキャリアパス
助産師は、妊娠・出産・産後の母子の健康管理をする専門職であり、キャリアパスの選択肢も豊富です。
具体例を見てみましょう。
- 病院・診療所で経験を積み、助産師主任や師長など管理職に就く
- 助産師としての経験を積み、助産所を開業する
- 訪問助産師として母親や新生児のサポートをする
- 教育機関や研修分野で助産師の養成に携わる
助産師の場合、病院や診療所で管理職への昇進や後輩助産師の養成に携わることが可能です。経験を積み、独立して開業することも選択肢として考えられます。
保健師と助産師それぞれの職種への転職について

保健師と助産師は専門的な知識やスキルを持って対象者にかかわる医療的な専門職です。しかし、業務内容や勤務環境は大きく異なります。
それぞれの職種に転職する時に、職種の特性を理解し、必要な経験やスキルを身につけることが不可欠です。ここでは、それぞれの職種に転職する時に押さえるべきポイントを解説します。詳しく見てみましょう。
助産師から保健師への転職
助産師から保健師の転職で、まず確認したいのが対象者です。妊娠・出産・産後と限られた期間の女性や新生児と密にかかわる助産師に対し、保健師は、地域住民や企業の従業員など幅広い対象の健康を守る役割を果たします。
新生児から高齢者までのさまざまな健康課題や生活環境を把握して、健康増進や疾病予防に取り組むため、それぞれのステージにあった身体的・精神的変化や特徴を捉えることが必要です。
保健師の主な業務のひとつである母子保健に関しては、助産師としての経験や知識が役立ちます。
保健師から助産師への転職
保健師から助産師への転職では、幅広い対象をケアする保健師の業務から、妊娠・出産・育児に至るまでの母子を主な対象としたケアへと変わる点が大きな違いです。また、地域住民や従業員の健康を管理する役割から、妊娠や出産に特化したサポートに変わるため業務内容も大きく異なります。
妊娠・出産・産後に関する専門的な知識を習得したり、実務経験を積んだりすることが必要です。
保健師として母子保健に携わっていた経験は、助産師に転職しても役立ちます。具体的には出産後の女性が新生児とどのように生活していくか、どのような支援があるのかなどを把握できているため、より具体的なサポートができるでしょう。
保健師・助産師に向いている人の特徴はある?

保健師と助産師は、業務内容や対象者が異なるため、それぞれ向いている人の特徴が違います。それぞれの職種に向いている人の特徴を、詳しく見てみましょう。
保健師に向いている人の特徴
保健師は、地域住民や従業員の健康を守る役割を果たします。新生児から高齢者まで幅広い年齢層を対象にするため、コミュニケーション能力が必要です。
個人だけでなく、地域社会や会社全体の健康管理にも関与するため、幅広い範囲での健康課題に取り組むことに興味がある人に向いているといえます。
助産師に向いている人の特徴
助産師は、妊娠や出産のサポートをするため、人との密接な関わりが好きな人が向いています。出産というライフステージの大きな変化をむかえる女性は、不安や緊張の気持ちでいっぱいです。そのような対象者に寄り添い安心感を与えるスキルが必要です。
さらに、出産の現場では、緊急事態が発生することも少なくありません。そのため、冷静な判断力も求められます。夜間対応や休日出勤など、不規則な勤務になる可能性もあり、体力や忍耐力がある人は有利です。
保健師か助産師で迷った時の対処法

保健師か助産師で迷った時は、まず自分の興味がある分野は何であるかを考えてみましょう。たとえば妊娠や出産に深い関心があり、妊婦さんや新生児との深い関わりを求めるのか、地域社会や集団など幅広い人を対象とした健康管理に興味があるのかです。
自分自身の興味のある部分を考えると、どちらの職種が合うのかわかりやすくなる可能性があります。
また、勤務形態や職場の環境を考えてみるのもおすすめです。不規則な勤務が多い助産師に比べ、安定した勤務形態を求めるのであれば保健師の方が向いているかもしれません。
どちらも対象者の健康に携わる重要な仕事です。自分がどのような分野に興味があるのか、どういったライフスタイルを求めるのかなどを考えて決めましょう。
まとめ|保健師と助産師の違いを踏まえて自分にマッチした職種を選択!
保健師も助産師も、対象者の健康管理にかかわる専門職です。どちらの職業も専門的なスキルや知識が必要です。
対象や役割が異なるため、業務内容は大きく違います。自分が興味のある分野や希望するライフスタイルをもとに、どちらが理想のキャリアプランに近づけるか考えることが大切です。
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