【保健師】業界情報保健師を目指す方必見!国家試験の概要(日程や合格率)と勉強方法
公開日:2024年06月26日
こんにちは、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームです。
保健師は、社会で暮らす人々が健康を維持できるよう、保健活動にて予防をサポートし、未病対策をおこなう役割を担っています。病気や疾患を治療・手当てする医師や看護師とは異なり、病気や疾患が発症する前に健康に関する指導やアドバイスをおこなう仕事です。
病院だけではなく、市区町村の保健センターや保健所、一般企業、学校などでも活躍する保健師ですが、働くためにはどのような資格が必要か知らない方も多いでしょう。
本記事では、保健師になるために必要な国家資格の種類や試験の概要を紹介するとともに、合格に向けた勉強方法をアドバイスします。保健師として働きたい、看護師から保健師に転職したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
※本記事は令和6年6月現在の情報をもとに作成しております。
目次
保健師になるには国家資格が必須
保健師として働くためには、看護師免許と保健師免許の2つの国家資格が必要です。保健師という名前で働くため保健師免許が必要なのは想像しやすいですが、実は看護師免許も取得しなければ保健師としては働けません。どちらも厚生労働省が認める国家資格であり、受験資格を満たして試験を受け、合格する必要があります。
看護師免許
看護師免許は、大学や短期大学、看護師養成所などの専門教育機関に3年以上通学し、国家試験受験資格を取得して、国家試験に合格すると取得できます。看護師になるための中学校を卒業してからの進学方法は、いくつかのパターンにわけられます。
- 中学校卒業後、高等学校・高等学校専攻科一貫教育校に5年通学し、看護師国家試験を受ける
- 高等学校卒業後、3年制の看護師養成所に通学し、看護師国家試験を受ける
- 高等学校卒業後、3年制の看護短期大学に通学し、看護師国家試験を受ける
- 高等学校卒業後、4年制の看護大学に通学し、看護師国家試験を受ける
- 中学校卒業後、高等学校衛生看護科に3年通学し、准看護師試験を受けた後、看護師学校養成所に2年通学し、看護師国家試験を受ける
- 中学校卒業後、准看護師養成所に2年通学し、准看護師試験を受けた後、看護師学校養成所に2年通学し、看護師国家試験を受ける
看護師国家試験の受験資格を得るためには、厚生労働省と文部科学省が指定する教育カリキュラムを修了しなければなりません。なお、2年制の看護学科やコースで目指せるのは准看護師のみのため注意しましょう。
保健師免許
保健師免許は、看護師免許を取得した後に保健師養成学校に通学し、国家試験を受けて取得する方法が一般的でした。しかし最近では、看護師免許と保健師免許の受験資格を同時に取得できる4年制の大学や専門学校が増えてきています。
保健師免許を取得するまでの流れは以下の通りです。
- 看護師養成課程に通い看護師免許を取得した後、1年制の保健師養成学校に通学し、保健師国家試験を受ける
- 看護師養成課程に通い看護師免許を取得した後、看護系大学保健師養成課程に3年次から編入し、保健師国家試験を受ける
- 保健師・看護師統合カリキュラムのある大学や4年制専門学校に通学し、看護師国家試験と保健師国家試験をダブル受験する
なお、ダブル受験では、保健師国家試験に合格しても看護師国家試験に落ちてしまうと、保健師の免許が取得できません。最初から保健師として働きたいと考えている場合は、ダブル受験のできる学校に通うのが最短ルートといえます。
保健師になるための試験
ここでは、保健師になるために必要な看護師と保健師の国家試験の概要を紹介します。なお、行政保健師として働きたいと考えている方は、地方公務員試験の受験も必要です。
看護師国家試験
看護師国家試験は、看護師の免許を取得するために受ける必要がある試験で、毎年2月中旬ごろに実施されています。国家試験は、受験資格をもつ人たちが看護師として働くために必要な最低限の知識を備えているかチェックするのが目的です。
受験科目は10科目あり、厚生労働省の看護国家試験出題基準に基づいて問題が作成されています。
- 人体の構造と機能
- 疾病の成り立ちと回復の促進
- 健康支援と社会保障制度
- 在宅看護論および看護の統合と実践
- 基礎看護学
- 成人看護学
- 小児看護学
- 母性看護学
- 成人看護学
- 精神看護学
出題数は、必修問題が50問、一般問題が130問、状況設定問題が60問です。合計240問が出題され、すべて選択問題や数字で回答する問題となっています。一般問題と状況設定問題は毎年ボーダーラインが変わりますが、必修問題は必ず80%以上の正答率を取らなければいけないため、注意しましょう。
看護師国家試験の受験資格
看護師国家試験の受験資格は以下の通りです。
- 文部科学大臣が指定する大学にて看護師になるために必要な学科を履修し卒業する
- 文部科学大臣が指定する学校で3年間以上看護師になるために必要な学科を履修し卒業する
- 都道府県知事が指定する看護師養成所を卒業する
- 准看護師免許を取得してから3年以上業務に従事する
- 准看護師免許を取得してから指定大学や指定学校もしくは養成所で2年以上修業する
試験を受けるための手続きでは、指定学校を卒業していることがわかる証明書を提出する必要があります。
看護師国家試験の概要
ここでは、看護師国家試験の概要を紹介します。
試験日程 | 毎年2月中旬ごろ |
---|---|
合格発表 | 毎年3月ごろ |
試験時間 | 午前:9:50~12:30(2時間40分) 午後:14:20~17:00(2時間40分) |
また試験の問題数と配点は以下の通りです。
設問数 | 配点/1問 | ボーダーライン | |
---|---|---|---|
必修問題 | 50問 | 1点 | 80%以上の正答率 |
一般問題 | 130問 | 1点 | 毎年変動 およそ65~70%の正答率 |
状況設定問題 | 60問 | 2点 |
合格率は、例年90%前後を推移しています。10人中9人ほどが受かる試験で、合格率は高いといえるでしょう。
保健師国家試験
保健師国家試験は、保健師の免許を取得するために受ける必要がある試験で、毎年2月中旬ごろに実施されています。国家試験は、受験者が保健師として働くために必要な知識を十分に備えているかを確認するためにおこなわれる試験です。受験科目は4つあり、出題は一般問題75問・状況設定問題35問にわかれています。保健師国家試験の受験科目は以下の通りです。
- 公衆衛生看護学
- 疫学
- 保健統計学
- 保健医療福祉行政論
保健師国家試験の受験資格
保健師国家試験の受験資格は以下の通りです。
- 看護師免許を取得しており、保健師養成コースで1年以上学び卒業もしくは卒業見込みである
- 4年制の学校で保健師養成課程を修了している
保健師養成課程と看護師養成課程の統合カリキュラムを採用している学校を卒業すれば、保健師と看護師の国家試験を同時に受験できます。
保健師国家試験の概要
ここでは、保健師国家試験の概要を紹介します。
試験日程 | 毎年2月中旬ごろ |
---|---|
合格発表 | 毎年3月ごろ |
試験時間 | 午前:10:45~12:00(1時間15分) 午後:13:55~15:15(1時間20分) |
また試験の問題数と配点は以下の通りです。
設問数 | 配点/1問 | ボーダーライン | |
---|---|---|---|
一般問題 | 75問 | 1点 | 145点満点中87点以上で合格 ※採点除外問題の数によって変動あり |
状況設定問題 | 35問 | 2点 |
合格率は、例年80~95%前後を推移しています。10人中8~9人ほどが受かる試験で、合格率は高いといえるでしょう。
地方公務員試験※行政保健師を目指す場合
行政保健師として働きたい場合、看護師国家試験・保健師国家試験に加えて、保健師の公務員試験を受験する必要があります。行政保健師とは、保健センターや保健所、地域包括支援センターなどの公的機関で公務員として働く保健師です。行政保健師は、地域住民が病気やけがをしないよう予防治療の専門家として、健康検診や病気に対する知識を広める役割があります。
保健師の公務員試験には、筆記試験がおこなわれる1次試験と面接・小論文が課せられる2次試験があります。地方公務員試験は、毎年5月ごろに実施されますが、詳細な日程は希望する自治体の公務員試験によって異なるため、事前に各自治体のWebサイトで確認しましょう。
また公務員試験では、市町村・都道府県問わず必ず教養試験があります。学校で学ぶ国語や数学、社会、物理などの一般知識が問われる問題です。国語や英語は文章問題、社会は法律や政治経済、数学はパズル要素をもつ問題など、幅広い分野から出題されるため、看護師や保健師の試験勉強とあわせて教養試験の対策もおこなう必要があります。
また、小論文では保健師と関連性の高い時事問題がテーマになるケースが多く、過去には食育や虐待についてのテーマが出題されています。面接でも時事問題について質問される場合が多いため、保健師がかかわる分野のニュースをチェックしておくようにしましょう。
産業保健師を目指す場合は
産業保健師とは、主に企業に所属し、健康診断や健康相談、保健指導など、従業員の健康管理をサポートする保健師のことを指します。従業員が健康に長く働けるようにすることで、企業の生産性の向上に貢献できます。産業保健師として働きたい場合、看護師国家試験・保健師国家試験の他に必ず取得しなければならない資格はありません。
しかし、必須の資格が他にない一方、一定年数以上の臨床経験を条件としている企業が多い傾向にあります。例えば、「看護師として3〜5年以上の臨床経験」を必須としている企業が多くみられます。しかし、すべての企業で臨床経験が求められるわけではありません。
産業保健師は事務作業も多くおこなうため、ワードやエクセルなどの基本的なパソコンスキルを身につけておくと、仕事に早く慣れることができるでしょう。また、産業保健師は非常に人気が高い職業であるため、「衛生管理者」や「産業カウンセラー」といった資格を取得しておくと、他の志望者と差をつけることができます。
国家試験合格に向けた勉強方法
保健師になるための国家試験に合格するためには、効率よく勉強を進める必要があります。勉強方法としては、問題集で過去問を解く、アプリを使用するなどがあげられます。試験勉強では、自分が理解できている部分と理解できていない部分を明確にすることが大切です。
まずは、同じ問題集を進めて理解できている問題とできていない問題に振りわけます。次に間違えてしまったり、根拠を理解できていなかったりする問題の解説を読んで内容を理解します。これを繰り返し、理解できていない問題を減らしていくことが大切です。
デスクに向かって勉強する時間を確保できないときは、スキマ時間にアプリを使って勉強を進めましょう。分厚い問題集を開けないシーンでも、アプリであればスマホから簡単に利用できるため、通勤・通学時間におすすめの勉強方法です。
試験に関するよくある質問
ここでは、保健師になるために国家試験を受ける人が疑問に感じていることをQ&A形式で回答します。
- Q:保健師と看護師の国家試験の違いは何ですか?
- A:保健師と看護師の国家試験の大きな違いは、必修問題の有無です。保健師の国家試験で出題されるのは一般問題と状況設定問題の2種類で合計110問、看護師の国家試験は必修問題が加わり合計240問出題されます。
また保健師の試験では、対象者の状況にあわせて保健師がどのように判断するのが適切であるかを問う出題が多い傾向です。単純に〇✕で答えが出るような問題ではなく、どの選択肢も間違いとは言い切れなかったり、状況によって正解が異なったりするような出題のため、優先順位が高いものを判断できる能力が必要といえます。
- Q:保健師の公務員試験では何を対策すればよいですか?
- A:公務員試験では、教養試験と専門試験の対策が必要です。教養試験では一般的に学校で習うような国語、数学、社会、英語などの幅広い知識が求められるため、保健師・看護師試験とは別に、自治体が公開している過去問や参考書などで勉強を進めましょう。専門試験は保健師の専門知識が問われるため、保健師国家試験に向けて勉強していれば同時に対策ができます。
まとめ|保健師として働くなら看護師と保健師の免許取得が必要
保健師として地域住民の健康をサポートする仕事に就きたい方は、看護師免許と保健師免許の2つを取得する必要があります。試験の日程や出題範囲を事前に確認し、早い時期から対策を始めましょう。
行政保健師として働くためには公務員試験を受ける必要があるため、あわせて対策が必要です。産業保健師として働きたい場合、追加で必要な資格はありませんが、関連の資格を取得したりパソコンスキルを身につけたりしておくと、選考の際に有利に働くでしょう。
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