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【保健師】業界情報産業保健とは?目的や課題、取り組みや支援の具体例を紹介

公開日:2015年09月30日
更新日:2024年06月27日

こんにちは、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームです。

近年、一般定期健康診断にて有所見率が年々増加しているとともに、仕事や就業生活に強いストレスや不安を感じている人の割合も増えてきています。また、過労死や自殺にかかわる指標でもある脳・心臓疾患に係る労災認定件数や、精神障害に係る労災形態の多様化により、労働派遣者やパートなどの非正規労働者の健康管理は、正規労働者以上に問題を抱えているという指摘もあります。

働く人々の健康を守るために注目されているのが産業保健です。

本記事では、産業保健の概要や領域、産業保健を担う職種などを紹介します。産業保健師としての働き方に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

目次

産業保健とは

産業保健とは

産業保健とは、働くすべての人が健康で安全・快適に働ける職場づくりのための、産業医学をベースにした活動を指します。産業保健を担うスタッフの例としては産業医や保健師、衛生管理者、衛生推進者などがあげられ、状況に応じて職場外から労働衛生コンサルタントや作業環境測定士、健康保持増進スタッフなどの専門家の協力を得て推進されています。

産業保健は、従業員の健康や命を守るために事業者が責任をもって取り組む活動です。従業員が健康でやりがいをもって働けるようになれば、企業も生産性や業績の向上につながるといった恩恵を受けられます。

産業保健の主な目的は3つです。

  • 仕事における健康問題の予防
  • 従業員の健康増進
  • 職場環境の改善

産業保健は、個人単位の健康づくりだけではなく、企業や社会全体に寄与する健康維持・増進のための活動といえます。

産業保健分野における課題

精神障害の労災請求件数は年々増えており、平成31年以降は2000件以上となり、近年は2683件と過去最多の件数を更新しました。また、労災の認定件数も年々増加傾向にあります。近年の労災の支給決定件数の内訳をみてみると、もっとも多かったのがパワーハラスメント、その次に事故や災害の体験、仕事の量や質と続いています。

出典:厚生労働省 精神障害の労災補償状況

またストレスを抱える労働者の割合についての調査では、令和3年には53.3%が仕事や職業生活に対して強いストレスを感じていると回答しました。この割合は近年82.2%までに激増しています。また、メンタルヘルスの不調が原因で休職もしくは退職した労働者がいる企業の割合は、令和3年時点で23%と前年よりも増加しています。

出典:厚生労働省 令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況

また、事業所の規模が小さいほどメンタルヘルスの対策が十分におこなわれていないという現状も公表されており、大企業だけではなく中小企業もメンタルヘルス対策を十分におこなうことが大切です。

産業保健に関する法律・制度

産業保健は、働く人や組織全体を対象にしているため、それらを取り巻く法令についても理解しておくことが必要です。産業保健は、働く人の健康と安全を守るだけではなく、リスク回避の役割も担っています。法律を守ることで、働く人を守ることはもちろん、罰則の適用、民事・刑事訴訟などのリスクを回避し、人材の流出や企業イメージダウンを防ぎ、企業自体を守る役割もあるのです。

産業保健に携わる際に知っておきたい主な法律は、労働基準法・労働安全衛生法・労働契約法の3つです。

労働基準法とは、労働者が安全かつ健康に働けるよう、労働条件の最低基準を定めた法律です。産業保健は組織と労働者を対象におこなうものであるため、把握しておく必要があります。

労働安全衛生法とは、高度経済成長期に労働災害を防止する対策の需要の高まりを受けて、労基法から独立し制定された法律です。職場において労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促します。

労働契約法とは、労使関係を対等にし、労働者を守るための法律で、産業保健でもっとも重要視されている安全配慮義務について定められています。安全配慮義務とは、使用者に対して定めている義務で、労働者が身体や命の安全を確保した状態で働けるよう必要な配慮をおこなうことです。

コンプライアンスや法令遵守は、産業保健の基本であり根拠です。働く人と企業の両者を守るためには、根拠ある産業保健活動を実施する必要があるため、関連する法令は把握しておきましょう。

産業保健の領域

産業保健の領域

ここでは、産業保健の領域や仕事内容を紹介します。産業保健では、企業の人事部や健康管理部門などと連携を取りながら従業員の疾病予防や健康管理をおこないます。近年は、身体の健康だけではなく、メンタルヘルスに対するサポートも産業保健の範囲として扱われており、面談や復職のサポートなども実施しているようです。

従業員の健康管理

産業保健の業務領域の一つが従業員の健康管理です。ここでは、具体的な取り組み例を紹介します。

具体的な取り組みの例

定期的な健康診断を実施し、健康に問題がみられる従業員に対しては、産業保健師から適切な生活習慣を身につけ健康を改善するための保健指導がおこなわれます。産業保健師は、従業員が自分の健康状態を把握できるよう、企画から準備、結果のデータ管理、従業員へのフィードバックなどの業務を一貫して担っています。

産業医は医師として専門的な知見をもとに従業員へ指導や就労判定をおこない、企業は事業所の規模に応じた人数の産業医を選任することが法律で義務付けられています。一方で、産業保健師の配置に法的な義務はなく、企業が任意で設置するものです。産業医と産業保健師の仕事内容は関連する部分が多いため、従業員の情報を共有し連携して取り組むことが大切です。

従業員のメンタルヘルス

従業員の心身の健康が守られるよう、健康相談やメンタルヘルスの相談を受けることも産業保健師の業務の一つです。相談内容は、生活習慣病や健康に関する悩みから、ハラスメントや過重労働などの労働環境に関する悩み、職場の人間関係によるストレスなどさまざまです。ここでは、具体的な取り組み例を紹介します。

具体的な取り組みの例

従業員のメンタルヘルスを守るために、ストレスチェックがおこなわれます。労働安全衛生法の改正により、50人以上の従業員がいる事業所では、ストレスチェックが義務化されました。ストレスチェックを実施できるのは法令で定められた資格者のみで、産業保健師も該当します。

また、カウンセリングも業務の一環で、従業員個人からメンタルヘルスに関する相談を受けることはもちろん、場合によっては従業員向けのセミナーや勉強会を実施することも必要です。すでに心身の不調により休職していた従業員が復職する際には、面談を実施したり継続的に観察したりして、復職支援もおこないます。

職場の衛生管理

職場の衛生管理も産業保健活動の範囲です。ここでは、具体的な取り組み例を紹介します。

具体的な取り組みの例

一定の基準に該当する事業所においては、労働衛生委員会と呼ばれる職場の安全や健康の保持増進を目的とした委員会の設置が義務付けられています。産業保健師は出席を義務付けられていませんが、保健師が参加することで保健分野の情報を発信し、現場のリアルな状況を共有してもらえるかもしれません。

また、産業保健師は従業員の心身の健康状態をチェックするために職場内の作業環境を定期的に確認する職場巡視もおこないます。職場巡視は、産業医の必須業務であり産業保健師の義務ではありませんが、保健師の動向により衛生上の問題点がないかをチェックできるほか、専門家の視点で改善点やアドバイスを伝えられるでしょう。また、従業員が実際に働く職場環境を知ることで、より従業員の健康状態を把握しやすくなるといえます。

産業保健を担うスタッフ

産業保健を担うスタッフ

産業保健分野で活躍するスタッフには、さまざまな分野の専門家がいます。ここでは、主要スタッフの職種と役割を紹介します。

産業医

産業医とは、事業所において従業員が健康で快適な作業環境で仕事を実施できるよう、専門的な視点から指導や助言を発信する医師のことです。産業医は、産業保健の理念や労働衛生に関する専門知識をもって従業員の健康障害を予防するだけではなく、従業員の心身の健康を維持・増進する役割もあります。

一般的な医師と産業医の大きな違いは対象者です。病院やクリニックで働く医師は、ケガや病気を患った病人を対象に治療をおこないますが、産業医は健康な人や明確にケガや病気を患っているわけではなくても心身の状態がすぐれない従業員をメインにアドバイスをします。産業医はあくまで就労制限や就労可能かを判断するのみで治療をおこないません。治療が必要であると判断した場合は、従業員に対して医療施設を紹介します。

産業保健師

産業保健師は、企業で働く従業員の健康診断に関連するサポートやストレスチェックの実施、労働衛生委員会への出席、健康・メンタルヘルス相談、長時間労働者への対処などをおこないます。

産業医よりも産業保健師の方が、企業にいる時間が長い傾向があり、従業員と接する機会も多く、不調や異変に気づきやすいため継続的なフォローが可能です。更なるサポートが必要と判断すれば産業医に引き継ぎ、従業員の健康をいち早く守れます。

また、健康診断の実施やサポート、メンタルヘルスケア業務、健康相談のほか、医務室や健康管理室内にて、従業員が体調を崩したりケガをしたりした場合に、状況に合わせて対応をおこないます。

各種専門職(安全管理者、衛生管理者など)

産業保健分野では、衛生管理者や総括安全衛生管理者なども活躍しています。衛生管理者は、常時50人以上の従業員が働く事業所で選任する必要があり、衛生にかかわる技術的事項を管理する役割を担っています。衛生管理者には、職場や作業を熟知している人物が望ましいでしょう。

総括安全衛生管理者は、企業内で安全と衛生に関連する業務が適切かつスムーズに実施されるよう、安全と衛生に関する業務をおこなう者を指揮する役割があります。権限と責任のある業務のため、一般的に事業所長や工場長などが選任されます。

外部コンサルタント

産業保健では、外部から労働衛生コンサルタントを招くこともあります。労働衛生コンサルタントは、労働衛生コンサルタントの資格を所有し、職場の労働衛生の管理状況に問題はないか、社外の専門家の視点から診断や指導をおこないます。安全衛生管理スタッフの選任や、労働者が健康に働くための環境整備や措置が法律に基づいて適切に実施されているかをチェックし、指導をおこなうのが仕事です。

まとめ|産業保健は社会で働く人々の健康を守る重要な役割を担っている

産業保健の分野は、働く人々が健康かつ生き生きと働き続けられるようサポートを実施する大切な役割を担っています。産業保健師は、従業員の健康状態だけではなくメンタルヘルスのサポートもおこないます。

現在看護師や保健師として働いている方で、産業保健師への転職を検討している場合は、アポプラス保健師をご活用ください。保健師分野に特化したコンサルタントが求人探しから選考対策まで一貫してサポートいたします。初めての転職で不安を感じている方は、お気軽にご相談ください。

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