【保健師】仕事内容・役割産業保健師とは?仕事内容・年収・なり方まで徹底解説
公開日:2018年10月11日
更新日:2025年06月26日

こんにちは、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームです。
「産業保健師ってどんな仕事をしているの?」
「企業で働く保健師の役割や必要性がよくわからない......」
「産業保健師の働き方について詳しく知りたい!」
このような悩みを持つ人のために、アポプラス保健師のライターチームが疑問を解決する記事を執筆しました。
産業保健師とは、一般企業で働く保健師のことです。企業において従業員が心身の健康を維持しながら、安全に働けるようサポートする重要な役割を担っています。本記事では、産業保健師の業務内容、年収、なり方などを詳しく解説します。
目次
- ・産業保健師とは?
- ・産業保健師の主な業務内容
- ・産業保健師の働き方と雇用形態
- ・産業保健師の年収相場
- ・産業保健師になるには
- ・産業保健師の将来性と活躍の場
- ・産業保健師の具体的な活動事例・導入例
- ・産業保健師に関するよくある質問(FAQ)
- ・産業保健師の求人を探すには
- ・まとめ|産業保健師への転職で叶える、理想の働き方とキャリアの安定
産業保健師とは?

産業保健師とは、一般企業で働く保健師のことです。従業員が心身の健康を守りながら、安全に働けるようサポートする重要な役割を担っています。保健師の業務は、健康の維持・増進や、病気予防が中心です。
なお、保健師の就職先は、一般企業以外にも次のような場所があります。
- 行政機関
- 学校
- 病院
保健所で働く行政保健師や、医療機関で働く病院保健師など、働く場所によって保健師の呼び方も変わります。
一般の民間企業で働く産業保健師は「製造業」「運輸業」など、幅広い業種で活躍しています。
産業保健師の役割
産業保健師の主な役割は、産業医や人事担当職員などと連携しながら、従業員の健康維持・増進を図り病気を予防することです。
病気を予防するために、次のような業務を担当します。
- 健康診断の実施や診断結果を基にしたアドバイス
- ストレスチェック
- メンタルヘルスケア
- 職場環境の改善
従業員の心身の健康維持・増進は、生産性向上や離職・休職を防ぐことにもつながるため、会社の経営にもよい影響を与えます。
企業における産業保健師の必要性とは
働き方改革推進や、2019年の「産業医・産業保健機能」強化により、企業には健康管理体制の整備が求められています。これに伴い、産業保健師の業務は拡大し、従業員の健康維持に対する関心は高まっています。
こうした背景から厚生労働省は、産業医や産業保健師などの専門職が、チームとして産業保健活動に取り組めるような体制づくりを推進しているのです。
さらに、コロナ禍を契機に、感染症対策や衛生指導などの専門的知識も求められるようになりました。また、テレワークやシフト制勤務などが普及したことで、メンタルヘルス不調者の増加や、生産性低下などの課題も生じています。
2025年には「育児・介護休業法」の改正が段階的に施行され、育児や介護をしている従業員がより柔軟に働けるような仕組みづくりが、企業に求められるようになりました。そのため、これまで以上に多様な働き方に合わせた健康管理や、メンタルヘルス対策が求められるようになります。
こういった状況から、企業において産業保健師の必要性はますます高まっています。
出典:厚生労働省 育児・介護休業法について
出典:厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正
産業保健師の主な業務内容

産業保健師は、従業員が心身の健康を維持しながら安全に働けるよう、さまざまな業務を担当しています。
ここでは、主な5つの業務内容を紹介します。
健康診断の企画・運用
産業保健師は、健康診断の企画や準備、実施を担当します。また、結果を分析したり、従業員へアドバイスをしたりすることも、産業保健師の重要な業務です。
企業は、労働安全衛生法に基づいて、従業員の健康診断を実施することが義務付けられています。産業保健師は対象者を把握し、スケジュール調整から健康診断実施後のフォロー、必要に応じて面談の手配まで行います。
保健指導と生活習慣の改善サポート
産業保健師は、従業員が健康状態を把握し、自分自身で管理することで健康増進を図れるよう、保健指導を実施します。
保健指導は、次のような場面で健康に関する知識や情報を伝達し、生活習慣の改善をサポートする活動です。
- 従業員との個別面談(健康診断の結果に基づいた生活習慣指導)
- 従業員に向けた研修会
生活習慣指導には、栄養指導・生活指導(睡眠、喫煙、飲酒)・運動指導などが含まれます。
メンタルヘルス対策とストレスチェック
産業保健師は、ストレスチェックの準備や、高ストレス者のケアをします。ストレスチェックは、労働安全衛生法に基づいて、2015年から義務化された制度です。
従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐために、ストレス状態を把握し、職場環境の改善を進めることを目的としています。常時50人以上の労働者がいる企業は、年1回、全従業員に実施することが義務付けられました。
産業保健師はストレスチェックの結果を基に、産業医や人事担当者・関連部署・経営層などと連携して、職場環境の改善にも取り組みます。また、メンタル不調をきたした従業員や、復職する従業員の対応も産業保健師の重要な業務です。
職場環境の視察・改善提案
産業保健師は、実際の職場環境を視察し、課題を把握したら改善策を提案します。職場環境の視察は、産業医などに義務付けられた業務ですが、産業保健師が同行することで保健活動に役立つでしょう。
職場環境の課題を見つけた場合は、職場環境や体制の改善に向けて活動します。改善策を提案し、産業医経営層などと連携して安全な職場環境づくりに取り組みます。
応急処置やケガ・病気の対応
産業保健師は、看護師免許も保有しているため、従業員の怪我や病気の応急処置も担当します。必要に応じて医療機関の受診や、救急搬送の必要性を判断することも産業保健師の重要な役割です。
産業保健師の働き方と雇用形態

産業保健師の働き方や、雇用形態は多様で、企業によって異なります。ここでは、産業保健師の働き方と雇用形態を紹介します。
常勤・非常勤の違い
産業保健師には「常勤」と「非常勤」の勤務形態があります。常勤は、フルタイムで勤務する形態です。
非常勤は、週に数日間勤務もしくは短時間勤務する形態です。大企業は常勤雇用、中小企業やベンチャー企業は非常勤雇用の保健師が多い傾向があります。
正社員、派遣、健保組合所属などの形態
企業で働く保健師の雇用形態は、企業によって異なりますが、次のような形態があります。
- 企業に正社員として雇用される
- 派遣会社に登録し派遣先の業務を担当する
- 健康保険組合に所属し企業の保健活動を担当する
- フリーランスの保健師が、業務委託契約で企業の保健活動を担当する
企業に直接雇用される場合は、正社員だけでなく、契約社員やパートといった雇用もあります。
産業保健師の年収相場

産業保健師の年収は、企業の規模や雇用形態などによって幅があります。また、勤務時間や残業時間・頻度は、企業ごとに異なります。
400~600万円が中心
産業保健師の平均年収について公的なデータはありませんが、400〜600万円程度といわれています。
なお、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、保健師の平均年収は約521万円です。これは、産業保健師だけでなく、行政機関や学校、病院などに勤める保健師も含めた平均年収です。
企業規模や待遇により異なる年収
産業保健師の年収は、勤務先の企業規模や雇用形態によって幅があります。一般的に、正社員として勤務したり、大企業で勤務したりするほど年収が高い傾向があります。
残業時間や働きやすさの実態
産業保健師は病院での勤務と比べて、体力的な負担が少なく、仕事とプライベートのバランスを保ちながら働ける点が魅力です。産業保健師の多くは、カレンダー通りに勤務するため、基本的に夜勤や土日に出勤はありません。
また、産業保健師は、一般的には残業が少ない職種です。健康診断を実施する時期のような忙しいタイミングもありますが、通常は定時に退社できる職場がほとんどです。
休日出勤や残業が多くないため、結婚・子育て・介護などによってライフスタイルが変化しても、働き続けやすい職業です。
この記事では、行政保健師と産業保健師について、年収や仕事内容などの特徴や違いを詳しく解説していきます。
産業保健師になるには

保健師として働くためには、看護師免許および保健師免許を取得する必要があります。
ここでは、免許を取得する方法や求められるスキルなどを解説します。
免許と進路
保健師として働くには、看護師免許および保健師免許が必要です。保健師養成課程がある看護大学や、専門学校などで教育課程を修了し、それぞれの国家試験に合格すると取得できます。
看護師と保健師のダブルライセンスが必要
看護師免許および保健師免許を取得する方法は、大きくわけると2パターンあります。
1つ目は、同時期に取得する方法です。保健師養成課程がある看護大学などで教育課程を修了し、看護師国家試験と保健師国家試験を同時期に受験して合格すると取得できます。
2つ目は、先に看護師免許を取得する方法です。まず看護大学や専門学校で教育課程を修了し、看護師国家試験を受験して看護師免許を取得します。
その後に、保健師過程がある大学や専門学校の教育課程を修了し、保健師国家試験を受験して合格すると保健師免許も取得できます。
学歴別の進路ルート
中学校卒業後や高校卒業後に、以下1〜3のいずれかのルートで決められた教育課程を修了して試験に合格すると、看護師・保健師免許を取得できます。
- 中学校卒業後、5年制の看護師養成校の教育課程を修了し看護師国家試験を受験する。
さらに1年程度の養成校の教育課程を修了し保健師国家試験を受験する。 - 高校卒業後、保健師養成課程がある4年制の看護大学などで教育課程を修了し、看護師国家試験と保健師国家試験を同時期に受験する。
- 高校卒業後、3年制の専門学校または4年制大学の教育課程を修了し、看護師国家試験を受験する。
さらに1年程度の養成校の教育課程を修了し保健師国家資格を受験する。
それぞれの国家試験に合格すると、免許を取得できます。高校卒業後、もっとも早く保健師免許を取得できるのは、2番のルートです。最短では高校卒業後4年で取得できます。
求められるスキルと資質
産業保健師が求められる専門的なスキルは、次のような幅広いものです。
- 健康管理に関するスキル
- メンタルヘルスケアに関するスキル
- カウンセリングやコーチング技術
産業保健師が複数在籍する企業よりも、企業に在籍している保健師が1人のケースが多い状況です。
そのため、幅広い専門知識に加え、判断力・コミュニケーション能力・コンサルティング能力も必要とされます。また、資料作成や、データ管理などの業務を円滑に行うためには、基本的なパソコンスキルも欠かせません。
産業保健師の将来性と活躍の場

近年、働き方改革や、健康経営への注目が集まっていることから、産業保健師の需要も高まっています。産業保健師は、経験を積んだり、スキルを身につけたりすることでキャリアの幅が広がります。
働き方改革で高まる需要
働き方改革として、2025年には「育児・介護休業法」の改正が段階的に施行されたり、「高年齢者雇用安定法」の経過措置期間が終了したりします。
育児・介護休業法の改正が施行されることにより、テレワーク・短時間勤務・時差出勤・フレックスタイムなどの拡大が見込まれるでしょう。
また、「高年齢者雇用安定法」の経過措置期間が修了することで、60歳以上の従業員が増える可能性もあります。
そのため、多様な働き方に合わせた健康管理や、メンタルヘルス対策がより一層求められるようになり、産業保健師の需要が高まるはずです。
産業保健師のキャリアパスと専門性の広がり
産業保健師は経験を積むことで、教育担当やリーダー、管理職などへのキャリアアップを図れる可能性があります。
また、産業保健師に求められる専門知識の幅が広がっています。健康管理や、職場環境改善に加え、メンタルヘルス対策・健康経営・感染症対策などの多様な知識やマネジメント能力などが必要とされているのです。
研修に参加したり、資格を取得したりすることでスキルを身につけると、担当できる業務や転職先が増えキャリアの幅が広がります。
この記事では、将来AIによって保健師の仕事はなくなるのか、これからの時代にどのような需要があるのかについて解説します。
本記事では、実際に産業保健師として働いている人へのアンケートを基に、実際の働き方ややりがいなどについてまとめました。
産業保健師の具体的な活動事例・導入例

産業保健師の具体的な活動事例として、作業場の温度設定が適切でなく、従業員に不調が生じていることを発見したケースがあります。
産業医や関係部署、経営層と連携し、適切な温度管理ができるよう、次のような対策を実行しました。
- 温度計の設置
- レイアウトの見直し
- 局所的な冷暖房設備の導入
また、産業保健師の導入を、次のようなタイミングで行った事例があります。
- 健康診断の結果に基づいた従業員へのフォローを強化したい
- メンタルヘルスケアを手厚くしたい
- 心身の健康に不調のある従業員を早期に発見し十分なケアをしたい
- 人事担当職員の業務負担を軽減したい
- 健康経営の戦略を取り入れたい
このような課題を感じた際に、産業保健師を導入しているようです。
産業保健師に関するよくある質問(FAQ)
産業保健師に関して、よくある3つの質問について、それぞれ解説していきます。
産業保健師とそれ以外の保健師の違いは何ですか?
主に「働く場所」と「対象者」に違いがあります。
産業保健師は企業に所属し、従業員の健康維持・病気予防・職場環境改善など、企業内の健康管理に特化した業務を行うのが特徴です。
一方、病院保健師は病院に勤務し、患者やその家族への保健指導や健康相談を行います。また行政保健師は都道府県や市区町村に設置された保健所や保健センターなどに勤務し、地域住民の健康増進や感染症予防など、地域全体の保健活動を担います。
保健師としての専門性は共通していますが、対象とする人や働く場所によって求められる役割や業務内容が異なります。
産業保健師の平均年収はどのくらいですか?
産業保健師の平均年収は、公的なデータはありませんが400万円〜600万円程度といわれています。年収は企業の規模や雇用形態(正社員、派遣など)によっても異なり、大企業ほど高い傾向にあります。
産業保健師として働くメリットは何ですか?
産業保健師として働くメリットは、働きやすさとライフスタイルとの両立がしやすいことです。夜勤がなく、基本的に日勤のみの勤務であり、残業が少なく土日休みの企業が多いため、ワークライフバランスを保ちやすく、結婚や子育てなどライフスタイルが変化しても、長く働き続けやすい職業といえます。
産業保健師の求人を探すには

産業保健師の求人は、求人サイトや転職エージェントで探すことができます。特に、転職エージェントには便利なサービスを提供しているところがあるため、活用して効率的に進めるとよいでしょう。
求人サイトや転職エージェントの活用法
産業保健師が転職活動をするときは、求人サイトや転職エージェントを利用すると効率よく進められます。転職エージェントでは、次のようなサービスを無料で受けられます。
- カウンセリング
- 求人紹介
- 応募書類添削
- 面接対策
- 面接や入社日の調整
- 入社後のサポート
転職エージェントを活用し、自分に合った職場への転職を目指しましょう。
非公開求人のメリットとは
非公開求人には、次のようなメリットがあります。
- 転職の選択肢が広がる
- 競争倍率が低い傾向がある
- 大企業や好条件の求人が多い
- 自分に合う求人を見つけやすい
非公開求人とは、企業のホームページや、転職サイト、ハローワークなどに公開されていない求人です。非公開求人は、転職エージェントが取り扱っています。自分にマッチする企業への転職活動を、スムーズに進めやすいでしょう。
アポプラス保健師は、産業保健師として働きたい人に特化した人材紹介サービスです。企業の非公開求人をチェックしたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
アポプラスキャリアの無料転職支援サービスは、産業保健師の皆様のライフプランに最適な求人のご紹介に加え、採用企業とのつながりが深いからこそ可能な応募書類添削、面接対策などをご提供しています。初めての転職の方も、新しい働き方を探す方もぜひアポプラスへご相談ください。
まとめ|産業保健師への転職で叶える、理想の働き方とキャリアの安定
産業保健師とは、一般企業で働く保健師を指します。企業において従業員が心身の健康を維持しながら、安全に働けるようサポートする重要な役割を担っています。産業保健師の年収は、企業規模や雇用形態などによって幅があり、大企業ほど高い傾向です。
産業保健師は、残業が少なく土日休みの企業が多いため、体力的な負担が少なく子育てや介護などのライフスタイルが変化しても働き続けやすい職業です。産業保健師の転職は、転職エージェントを活用すると効率的に行えます。
転職エージェントでは、応募書類の添削や面接対策などのサービスを受けたり、非公開求人を紹介してもらえたりします。保健師として働くうえで大切なのは「条件のよさ」だけでなく、自分の人生に合った、長く続けられる働き方を見つけることです。
アポプラス保健師は産業保健師に特化した人材紹介サービスで、それぞれの悩みにしっかりと寄り添ったサポートを受けることができます。
保健師専門の転職サポート!32年の実績!
転職サポートに登録(無料)【新着】お役立ちブログ
- 2025年10月20日 産業保健師の転職はエージェント活用で差がつく!未経験でも安心の理由と賢い使い方
- 2025年08月28日 【30代で産業保健師に】未経験からでも目指せる?転職を成功に導く準備とポイント
- 2025年08月28日 保健師の転職はいつがベストな時期?行政・産業保健師のタイミングの違いと成功のコツ
- 2025年08月28日 【保健師PDCA完全ガイド】成功事例と失敗しない改善ポイント
- 2025年08月28日 【体験談あり】看護師から保健師への転職完全ガイド|年収・やりがい・働き方のリアル