【保健師】仕事内容・役割保健室の先生(養護教諭)になるには、保健師の資格は必要?気になる給料や仕事内容も解説
公開日:2015年11月27日
更新日:2024年10月18日

こんにちは、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームです。
本記事では、保健室の先生(養護教諭)になりたいけど、どうすればよいかわからない人に向けた内容を紹介していきます。保健室の先生としてのキャリアを実現するためのステップや、どのようなスキルが求められるのかなどを詳しく解説します。保健室の先生を目指したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
- ・保健室の先生(養護教諭)になるには?
- ・保健師免許だけで保健室の先生になるには?
- ・保健室の先生(養護教諭)の仕事内容3選
- ・保健室の先生(養護教諭)になると給料はどれくらい?
- ・保健室の先生(養護教諭)になったときのやりがいや魅力は?
- ・保健室の先生(養護教諭)になるのに向いている人は?
- ・まとめ|保健室の先生(養護教諭)になるには原則資格取得が必要
保健室の先生(養護教諭)になるには?

公立の小学校や中学校、高校の保健室の先生は、一般的に養護教諭の資格をもっている人がなる職業です。
養護教諭の免許を取得する一般的な方法は、下記のいずれかになります。
- 大学に入り養護教諭養成課程を経て「養護教諭一種免許状」を取得後、養護教諭採用試験に受かる
- 短大に入り養護教諭養成課程を経て「養護教諭二種免許状」を取得後、養護教諭採用試験に受かる
しかし保健師の場合は、養護教諭養成機関に半年〜1年通い「養護教諭一種免許状」を取得後、養護教諭採用試験に受かることで取得が可能です。
養成機関の一覧は以下のとおりです。
ここでは、保健室の先生になるための具体的なステップを紹介します。
【STEP1】養護教諭養成施設に入る
保健室の先生として働くためには、養護教諭養成施設に入学し、必要な資格を取得することが求められます。具体的には、大学の教育学部や医学部保健学科、短期大学の養護保健学科など、養護教諭養成課程が設置されている教育機関に進学する必要があります。
取得できる免許状は、養護教諭養成施設の区分に応じて下記の3つの区分にわかれます。
- 大学卒業:一種免許状
- 短期大学卒業:二種免許状
- 大学院修了:専修免許状
保健室の先生としてのキャリアをスタートするためには、自分の目標や希望する働き方に合わせた進学先を選び、必要な資格を取得するのがポイントです。どの教育機関を選ぶかによって、取得できる資格や学べる内容が大きく異なるため、自分に最適なプログラムを選ぶことが成功への第一歩となります。
【STEP2】養護教諭免許状を取得
保健室の先生になるためには、免許状を取得する必要があります。「一種免許状」を取得するためのカリキュラムでは、とくに教育や医学の知識を広く学べるため、将来的に学校の保健室で幅広い業務を担当する際に役立つでしょう。教育・保健・看護・生活・家政・福祉など、さまざまな分野で養護教諭養成課程が設置されており、それぞれの学科で学べる内容が異なります。
「専修免許状」を取得したい場合は、大学の養護教諭養成課程を修了後、大学院でさらに所定の単位を取得する必要があります。専修免許状は、教育現場での専門性を高めるために役立つ資格です。
また、短大や専門学校に進学することで、比較的短期間で「二種免許状」の取得が可能です。早くから保健室の先生として働きたい方に適した選択肢といえます。短大や専門学校では、実践的なスキルを重視したカリキュラムが組まれており、実際の職場で即戦力として活躍できるようになります。
なお、いずれの免許状も職務上の指導範囲には違いはありませんが、保健室の先生にも管理職への登用がある点は知っておきましょう。管理職登用の際には、短期大学卒業などの二種よりも大学卒業の一種、一種よりも大学院修了の専修免許状の方が有利に働く傾向があります。
自分が目指す将来のキャリアに応じた免許状を選び、必要な学習を進めることが大切です。
【STEP3】教員採用試験を受ける
保健室の先生として学校に勤務するためには、教員採用試験に合格する必要があります。教員採用試験は、公立学校と私立学校で異なる要件や試験形式になるため、目指す職場によって準備が異なります。
公立学校の保健室の先生になるためには、各自治体の教育委員会が実施する教員採用試験を受けなければいけません。公立学校では、試験の倍率が高く、とくに都市部では10倍を超えることも珍しくありません。
試験は一般教養・教職教養・専門教科・小論文などの筆記試験に加え、面接や場合によっては実技試験が含まれるケースもあります。面接では個人面接のほか、模擬授業や場面指導やロールプレイングなどがおこなわれ、実技試験では救急処置などのスキルが試されることもあります。
一方、私立学校の保健室の先生として働きたい場合は、各学校の採用試験の受験が必要です。私立学校では、試験内容や採用のタイミングが学校ごとに異なるため、学校ごとの情報をしっかりと確認し、試験準備を進める必要があります。私立の試験では、筆記試験や面接のほかに、学校の教育方針や文化に適した人物かどうかを評価するための特別な課題が出されることもあるようです。
どちらの場合も、試験対策としては過去問題の研究や模擬試験の受験、実技の練習が効果的です。しっかりと準備を整え、自分の強みをアピールできるようにしましょう。
【試験に落ちた場合】臨時職員として働く
教員採用試験に不合格だった場合でも、臨時職員として保健室の先生の経験を積む方法があります。各自治体では年度ごとに保健室の先生の臨時採用をおこなうことがあり、産休や育休中の教諭の代わりとして短期間勤務する機会が提供されます。
臨時職員として働くには、養護教諭免許状が必要で、仕事内容は正式採用の保健室の先生と同じです。臨時職員の経験は、将来の試験に向けたよい準備となり、履歴書に記載することで次回の試験や採用の際にプラスに働くこともあるでしょう。
保健師免許だけで保健室の先生になるには?

私立の学校の場合は養護教諭の設置義務がないため、保健師の資格をもっている人、もしくは看護師の資格だけをもっている人でも、学校保健師として保健室の先生になれます。
養護教諭の免許をもっていなくても保健室の先生になるには、「私立の学校」で働くことを目指してください。
保健室の先生(養護教諭)の仕事内容3選

保健室の先生の役割は、児童生徒の健康と安全を守ることです。学校生活の中で、保健室の先生はさまざまな業務を担当し、児童生徒の心身のケアをおこなっています。
具体的には、病気や怪我の手当てや健康管理・健康相談・健康診断の実施、保健教育の提供などが主な仕事内容です。それぞれの業務は、児童生徒の健やかな成長を支えるために欠かせません。保健室の先生の業務について、詳しく解説していきます。
病気や怪我の手当て
保健室の先生の主な役割の一つは、学校内で発生する病気や怪我の緊急対応です。児童生徒が校内や校外で突発的なケガをしたり、急な体調不良を訴えたりした場合、保健室の先生はすぐに救急処置をおこないます。
ただし、医療資格をもっていない保健室の先生は、医療行為をおこなえません。そのため、手当ては基本的に応急処置の範囲で患部を保護する程度に留まります。また、保健室内で児童生徒を休ませ、体調の回復を図るサポートも保健室の先生の役割です。
ケガや病気の状況が深刻で、医療処置が必要と判断される場合には、保護者に連絡し病院への搬送や救急車の手配をおこないます。適切な医療機関での診断と治療が受けられるよう、迅速に対処するのも保健室の先生の重要な業務です。
これらの対応は、児童生徒の安全を守るために欠かせない仕事であり、保健室の先生には緊急時の冷静な判断力と迅速な行動が求められます。
児童生徒の健康管理・健康相談・健康診断
保健室の先生は、児童生徒の健康管理、健康相談、健康診断などの業務も担っています。これらの業務は、学校生活における児童生徒の健康と安全を守るために欠かせないものです。
まず、健康管理の仕事では、すべての児童生徒の体格や体力、疾病、情緒障害、栄養状態などを把握し、健やかな学校生活をサポートします。たとえば、インフルエンザなどの感染症の予防策や拡大防止策を実施することなどです。
そのほかにも遠足・修学旅行・体育祭などの校外行事や運動行事に同行し、健康状態の管理やケガ、体調不良時の対応をおこないます。保健室の先生は、児童生徒たちが安心して学校生活を送れるよう支援する役割があるのです。
また、健康相談は身体的な悩みだけでなく、心の悩みについても対応が必要です。成長過程での身体的な問題や精神的なストレスなどに悩みを抱える児童生徒には丁寧なヒアリングを通じて状況を把握します。そのうえで必要に応じて、担任教諭やスクールカウンセラーと連携しながら支援します。
疾病を抱える児童生徒には、学校生活への適応をサポートするアドバイスやフォローをおこない、全体的な健康を維持する手助けをおこなわなければなりません。
保健室の先生は、健康診断や身体測定の計画・実施・結果の管理を担当します。健康診断(内科・歯科検診)は一般的に年度ごとに1回、身体測定(視力・聴力検査など)は学期ごとに1回実施されます。
健康診断の準備や実施、診断結果の記録と保管をおこない、保護者への結果報告をおこなうのも保健室の先生の仕事です。健康診断を実施する時期は業務が増えるため、保健室の先生にとっては繁忙期といえます。
児童生徒に対しての保健教育
保健室の先生は、児童生徒への保健教育にも大きな役割を果たしています。主な活動としては、心身に問題がある児童生徒に対する個別指導があげられます。たとえば、適切な生活習慣の指導や、特定の健康課題への対処方法を教えることなどです。
また、学校行事やホームルーム活動での保健指導も大切な業務です。児童生徒たちに向けて健康に関する知識やスキルを学ぶための発表をおこない、健康的な生活習慣の重要性を伝える目的があります。さらに保健だよりや保護者向けのプリント、学校内の掲示物を作成し、保健に関する情報を広めることも業務の一環です。
加えて、担任教諭や保健体育教諭と協力し、性教育などの授業を担当することもあります。保健室の先生は、児童生徒が適切な健康知識をもち、健全な生活を送るための支援をおこなっています。
保健室の先生(養護教諭)になると給料はどれくらい?

保健師の年収については、平均年収が500万円前後といわれています。300万円台の方もいれば800万円台の方もいるなど、幅が広くなっています。
あるさまざまな職業の平均年収を調べるサイトによると、保健師の平均年収は451.1万円、月収は24.7万円です。
一方で保健室の先生の場合、総務省が発表した「令和5年地方公務員給与の実態」によると、平均給与月額は下記のとおりです。
- 小中学校の教育職の平均給与月額は408,593円
- 高等学校の教育職の平均給与月額は431,372円
上記の給与月額にかかる平均年齢が40代なので、保健室の先生になってすぐにこの給与がもらえるわけではない点には注意が必要です。
これを単純に12倍し、さらに平均賞与を加えると、おおむね下記の年収になります。
- 小中学校の教育職 年収660万円(うち、平均賞与(年間)約170万円)
- 高等学校の教育職 年収695万円(うち、平均賞与(年間)約177万円)
出典:総務省「令和5年地方公務員給与の実態(令和5年4月1日地方公務員給与実態調査結果)」
保健師の資格だけで学校保健師として働くより、養護教諭の資格を取得して保健室の先生として働く方が、給料はアップするかもしれません。
保健室の先生(養護教諭)になったときのやりがいや魅力は?

保健室の先生としてのやりがいは、児童生徒の健康管理や保健指導、健康相談を通じてその成長をサポートできる点にあります。直接児童生徒とかかわる機会が多く、救急処置や悩みの相談を通じて、児童生徒との信頼関係が深まることもあるでしょう。信頼関係を築くことで、効果的な支援が可能となり、児童生徒が安心して学校生活を送る手助けができます。
心身のケアをおこなうことは簡単ではありませんが、自分の指導や対応によって児童生徒の健康状態が改善し、成長を実感できる瞬間には大きな充実感を得られます。保健室の先生としての役割を通じて、直接的に多くの児童生徒の生活によい影響を与えられるのは、大変大きな魅力といえます。
保健室の先生(養護教諭)になるのに向いている人は?

保健室の先生には、児童生徒の心身のケアが求められるため、とくに子どもが好きで、人の話をじっくり傾聴できる人が向いています。保健室を訪れる児童生徒の悩みや体調不良に対して、忙しいときでもしっかりと耳を傾ける姿勢が必要です。
さらに、優しく包容力のある対応は、児童生徒に安心感を与えるために重要な能力です。また、救急処置をおこなう際には迅速な判断力と強い責任感が求められます。適切な対応ができるように、冷静でありながらも瞬時に判断を下す能力が必要です。
こうしたスキルや特徴をもつ人が、保健室の先生としての役割を果たし、児童生徒の健康をサポートするのに適しているといえます。
まとめ|保健室の先生(養護教諭)になるには原則資格取得が必要
保健室の先生として働くためには、専門的な資格が必要です。資格を取得したうえで、教員採用試験に合格し、公立または私立の学校での勤務が可能となります。
ただし、私立学校の場合は養護教諭の設置義務がないため、保健師や看護師資格のみを所有している人も学校保健師として、保健室の先生になることが可能です。保健師の資格を所有している人で保健室の先生になりたいと考えている人は、私立学校への転職を検討しましょう。
また一般の企業において、保健室の先生のような役割を務める仕事に産業保健師があります。活躍する場や対象は異なりますが、健康管理や保健相談などの仕事内容は共通であるため、一つの選択肢として検討してみてください。
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