【看護師】過去の記事一覧生活習慣病研究中止を受けて、今後の保健指導のあり方について考える必要性は?
2016年04月15日
こんにちは、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームです。
2016年3月1日、厚生労働省より衝撃の発表が行われました。
それが「生活習慣病研究の中止」です。
13年度から5年間にわたり約3億円の研究費が投じられてきましたが、
「信頼性のあるデータが集まっていない」ことを理由に打ち切られることに
なったのです。
「特定健診で発症のリスクが高いと判定された人のその後を追い、
どうすれば死亡や入院を防ぐことができるか」を研究するとして期待されて
いただけに、残念な結果といわざるをえません。
厚生労働省の担当者は「来年度はなぜうまくいかなかったかを検証する
研究を進め、今後に生かしたい」と話しているといいますが、5年の歳月、
そしてこの莫大な費用が無駄にならないよう努めてもらいたいものです。
日本経済新聞「生活習慣病の研究中止に 厚労省、データ集まらず」参照
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG29HBD_R00C16A3000000/
残念な結果に終わってしまいましたが、生活習慣病を予防することは今後も重要な課題です。
保健師は「今後の保健指導のあり方」を改めて考えていく必要があるのかもしれません。
生活習慣病予防には2つのアプローチが重要
生活習慣病を予防するには、以下のような流れが必要になります。
- 1.
一般の人に対し「健康づくりに関する普及・啓発」
⇒不適切な健康習慣を見直してもらい、リスクを軽減させる - 2.
健診健診の実施と普及
⇒自分の状況を確認してもらう、予備軍の抽出 - 3.
保健指導(発症予防の取組)
⇒発症のリスクがあると考えられる予備軍に対して、生活習慣の改善を指導 - 4.
保健指導・医療
⇒発症者に対しては、さらなる保健指導と適切な医療機関への受療促進
厚生労働省「新たな健診・保健指導と生活習慣病対策」参照
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/ikk-a.pdf
生活習慣病予防には、(1)のように、高リスクを抱えていない集団に働きかけ、集団全体がリスクを軽減したり病気を予防したり
できるようにする「ポピュレーションアプローチ」と、(3)(4)のように、健康障害を引き起こす可能性のある集団の中から、
より高いリスクをもっている人に対して働きかけ病気を予防する「ハイリスクアプローチ」の2つが今後も重要になって
いくことでしょう。
「【新米保健師でもわかる!】保健師のポピュレーションアプローチについて解りやすく解説します!」参照
https://www.kan54.jp/blog/nurse-information/000419.php
生活習慣病の進行状況も改めてチェック!
先ほどは生活習慣病を予防するための流れについてお話ししました。
今度はそれらを行う相手がどのような状況であるか、進行状況とともに見ていきたいと思います。
- 1.
一般の人に対し「健康づくりに関する普及・啓発」
対象者⇒健康な生活を送っている人はもちろん、「不適切な食生活」「運動不足」「ストレス過剰」「睡眠不足」「飲酒」「喫煙」 を行っている人たち。 - 2.
保健指導(発症予防の取組)
対象者⇒特定健診により判明したメタボリックシンドローム予備軍。「肥満」「高血圧」「脂質異常」「高血糖」などが 認められる人たち。 - 3.
保健指導・医療
対象者⇒特定健診により判明したメタボリックシンドローム該当者。「肥満症」「高血圧症」「高脂血症」「糖尿病」と 診断された人たち。
厚生労働省「新たな健診・保健指導と生活習慣病対策」参照
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/ikk-a.pdf
生活習慣病を予防するのは保健師の任務!
保健センターや保健所で働く行政保健師にとっても、企業などで働く産業保健師にとっても「生活習慣病の予防」は大切な任務です。
研究中止に関わらず、今保健師ができることを今後も進めていただければと思います。
もちろん厚生労働省に対しては、新たなアプローチを考えたり、反省点を踏まえたりすることで、より役立つ研究結果を発表して
いただくことを希望します。
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