【保健師】業界情報【噂の真相】産業保健師は新卒ではなれない?3つの理由や対策はあるのかを徹底解説
公開日:2015年10月20日
更新日:2025年02月13日

こんにちは、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームです。
「新卒で産業保健師として働くのは難しいって本当......?」
「産業保健師の求人では経験者ばかり募集しているようにみえる」
「新卒で産業保健師になるためにどのような準備が必要なのか知りたい」
このような悩みを持つ人のために、 保健師転職のアポプラス保健師 ライターチームが疑問を解決する記事を執筆しました。
産業保健師は、企業で働く従業員の健康管理や職場環境の改善に携わる重要な専門職です。しかし、「新卒では産業保健師になれない」という噂を耳にした方も多いのではないでしょうか。実際に、産業保健師の求人情報では「実務経験3年以上」「臨床経験必須」などの条件が設定されているケースが多く、新卒で目指すにはハードル高く感じてしまう人も多いでしょう。
とはいえ、実務経験や臨床経験を「絶対的な壁」だと諦める必要はありません。そこで今回は、新卒で産業保健師になれないといわれている3つの理由や対策はあるのか、新卒で産業保健師を目指す際のポイントについて詳しく解説します。
この記事を読めば、産業保健師を目指す新卒の皆さんが、自身のキャリアパスを前向きに検討するためのヒントが得られるはずです。
目次
- ・そもそも産業保健師とは?
- ・なぜ新卒で産業保健師になるのは難しいのか?3つの理由
- ・新卒で産業保健師になるための対策
- ・新卒で産業保健師を目指す際のポイント
- ・他分野で実務経験を積むことも重要
- ・まとめ|長い目でみて、産業保健師としてのキャリアを考えよう
そもそも産業保健師とは?

冒頭でも解説した通り、産業保健師とは、企業で働く従業員の健康管理を担当する専門職です。 従業員の健康維持・増進をサポートしながら、働きやすい職場環境づくりを推進する重要な役割 を担っています。
産業保健師の具体的な仕事内容をみてみましょう。
- 健康診断の企画や実施
- 従業員に対する保健指導
- メンタルヘルス対策(ストレスチェックの実施・面談対応など)
- 職場環境の改善
- 職場で発生した怪我・病気の対応 など
このように産業保健師は、従業員の健康リスクを未然に防ぎ、心身の健康管理を通じて生産性の向上を支援します。その結果、休職者や退職者を減らし、企業全体の発展や成長に貢献することを目指しているのです。
従業員一人ひとりに寄り添った保健指導から、組織全体の健康管理体制の整備まで、産業保健師の役割は多岐にわたります。産業保健師の仕事についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
本記事では、産業保健師の役割や具体的な仕事内容について、詳しくご紹介します。
なぜ新卒で産業保健師になるのは難しいのか?3つの理由

産業保健師は、従業員一人ひとりの健康を支える重要な職種です。しかし、新卒での就職は難しいといわれることが多く、実際に求人情報をみても新卒では採用されるのが難しい条件を目することが少なくありません。
では、なぜ新卒での就職が難しいといわれているのでしょうか。主な理由を具体的に3つ解説します。詳しくみてみましょう。
実務経験が求められることが多い
産業保健師は、 即戦力としての実践経験やスキルを求められる傾向 があります。なぜなら、従業員の健康問題に迅速かつ適切に対応する必要があるためです。
たとえば、健康診断後のフォローアップやメンタルヘルスケアなど、個別の問題に応じた柔軟な対応力が必要不可欠です。また職場環境の改善や提案に関しては、労働基準法や労働安全衛生法など法的な知識を実践的に活用する必要があります。
新卒者は大学で保健師としての基礎知識を習得していても、現場での対応経験が乏しいため、即戦力としての評価を得にくい状況にあります。そのため、産業保健の分野では経験豊富な保健師が優先的に採用されるケースが多くなるのです。
求人の競争率が高い
産業保健師の求人は、限られた採用枠に多くの募集が集中する傾向があります。
厚生労働省の「 令和4年衛生行政報告例の概要 」では、2022年末時点では就業保健師数60,299人のうち、事業所(企業)で働く産業保健師は4,201人と全体の約7%にすぎません。
また産業保健師の配置は、労働安全衛生法上で明確な設置義務が定められておらず、大企業の場合でも、産業保健師の選任義務はありません。これらのデータから、求人の競争率が高いことは容易に推測できます。とくに、 大手企業や福利厚生が充実している企業では、競争率がさらに高くなる可能性 があります。
産業保健に関する専門知識が不足しているケースが多い
ここまで解説した通り、産業保健師は従業員の健康を守ることにとどまらない、幅広い専門知識が求められます。具体的には、労働安全衛生法などの関連法規の理解、職場環境の改善提案力、そして個別の健康課題に対応するための医学的知識などです。
大手企業では数千人規模の従業員の健康管理を担当することも多く、メンタルヘルス対策から職場環境改善まで、幅広い業務を自主的にこなせる即戦力が必要となります。
さらに、企業の健康経営を推進する立場として、従業員の健康維持・増進が企業の生産性向上や収益性に直結するという経営的視点も必要となるケースもあります。医療の専門家としてだけでなく、ビジネスパーソンとしての素養も求められるのです。
こうした複合的な知識やスキルは、大学での保健師教育課程だけでは習得が難しく、実務経験を通じて段階的に身につけていくもの です。そのため、新卒者は即戦力としての評価を得にくい状況にあり、採用時に不利となるケースが少なくありません。
新卒で産業保健師になるための対策

新卒で産業保健師へ就職するのは確かにハードルが高いですが、決して不可能ではありません。ここでは、新卒で産業保健師になるために知っておくと役立つ対策を3つ説明します。
対策1:学生時代からのスキル習得
「産業保健師になりたい」という明確な目標がある場合は、学生のうちから計画的にスキルを積みあげることが重要です。就職活動の際、企業にアピールできる専門性やスキルを身につけましょう。
前述した通り、 産業保健の現場では従業員の健康管理に加えて、職場環境の改善提案や労働安全衛生に関する幅広い知識が必要 とされます。そのため、以下のような取り組みに挑戦してみることをおすすめします。
- 産業保健に特化した選択科目の積極的な履修
- 労働安全衛生法やメンタルヘルスに関する専門セミナーへの参加
- 産業保健分野をテーマにした卒業研究や論文の執筆
- メンタルヘルス・マネジメント検定や衛生管理者など、関連資格の取得
学生時代から計画的にスキルを習得してアピールすることで、企業から採用されやすくなります。
対策2:実務経験の代わりになるような経験を積む
実務経験の不足を補うため、学生時代から産業保健に関する実践的な経験を積むことを心がけましょう。たとえば、以下の活動があげられます。
- 企業でのインターンシップ参加
- 健康診断会場でのアルバイト
- メンタルヘルス関連のボランティア活動
保健師を目指す学生向けのインターンシップは、さまざまな企業でおこなわれています。インターンシップをとおして、産業保健の業務内容を知り、自分に不足している知識や技術を発見できる機会になります。
また、健康診断や健康教育に関するアルバイトやボランティアも実際の現場を知るいい機会です。どのように健康診断が運営され、どのように健康に関するアドバイスをしているのかを実際にみることで実践的な視点を持つことにつながります。
メンタルヘルスの支援団体や地域のカウンセリング活動でも、ボランティアを募集していることがあるため確認してみてください。メンタルヘルスは、産業保健師に必要な視点のひとつです。 学校の授業だけで学ぶことが難しい場合もあるため、外部の活動に積極的に参加して経験を積みましょう 。
対策3:求人を探す際に工夫をする
新卒で産業保健師の求人をみつけるためには、求人を探すときに工夫が必要です。効率的に情報を集めるための具体的な方法をみてみましょう。
- 求人サイトを定期的にチェックする
- 学校のネットワークを活用する
- 企業のホームページを確認する
- SNSやオンラインコミュニティを活用する
- 転職エージェントを利用する
産業保健師の求人は、インターネットで探すだけでなく、学校やコミュニティなどのネットワークを活用することが大切 です。企業のホームページや求人サイトでも、産業保健師の求人が出ているため、定期的に確認してみましょう。
なお、アポプラス保健師でも、産業保健師の求人を数多く取り扱っています。アポプラス保健師サイトの 求人検索 の「こだわり条件」で「未経験可」にチェックを入れると、経験が浅い人でもエントリー可能な求人が確認できます。求人情報の詳細を読むと、実務経験が足りない代わりに、企業から何が求められているのかを把握することが可能です。
また、一般の求人サイトには公開されていない非公開求人もあり、専門のコンサルタントが就職をサポートいたします。産業保健に興味がある方はお気軽にご相談ください。
新卒で産業保健師を目指す際のポイント

新卒で産業保健師を目指すには、計画的なキャリア設計と積極的な行動が大切です。新卒者が産業保健師を目指すための2つのポイントを解説します。詳しくみてみましょう。
長期的なキャリア設計をしておく
産業保健師は即戦力を求められるため、他の分野での経験を先に積んでから長期的な視点で産業保健師を目指すのも選択肢のひとつです。
長期的なキャリア設計の具体例をみてみましょう。
キャリアの例 | 具体例 |
---|---|
他の分野で先に経験を積む | 地域保健や病院で働き、健康に関するアドバイスや対応の経験を積む |
さまざまな分野のスキルを組み合わせる | 医療だけでなく、法律・経営・コミュニケーションスキルなどの講座や研修を受ける |
5年後、10年後にどのような産業保健師になりたいかを具体的に考えてください。 最終的に産業保健の分野で活躍するために必要なスキルや経験を明確にして、ひとつずつ習得できるように計画を立てましょう 。
積極的に行動する
新卒で産業保健師を目指す場合、自分の意欲やスキルを採用担当者にアピールしなくてはいけません。そのために、積極的に行動し知識や経験を積み重ねることが大切です。
積極的な行動の具体例をみてみましょう。
- 企業研究などの情報収集の徹底
- インターンシップやボランティアへの参加
- 資格取得やセミナーへの参加
- 産業保健師のコミュニティへの参加
- 産業保健に関する学会や講座への参加
産業保健の実務経験がない分、それを補うためにどのような行動をとってきたのかを採用担当者に伝えることが不可欠 です。実務経験を補うために、インターンシップ参加や資格取得など努力を重ねた姿勢は、産業保健師を目指す熱意を伝えるアピールポイントになります。
募集している背景やニーズが異なるため、具体的にどういった点をアピールするのがよいかは、企業によっても異なります。そのため、応募する企業の研究を念入りにして、求める背景やニーズに対して自分が貢献できるポイントを的確にアピールできるようにしましょう。
他分野で実務経験を積むことも重要

産業保健師として活躍するためには、他の分野での保健師実務経験が大きな強みとなります。
たとえば病院での勤務経験により、専門的な医療知識と患者対応のスキルを習得することが可能です。現場での実践を通じて、緊急時の判断力や医療専門職との連携方法も身につきます。
地域保健や学校保健の分野では、メンタルヘルスケアの実践的な経験を積めます。さまざまな年齢層や背景を持つ方々との関わりを通じて、カウンセリングスキルや予防的支援の手法を学べるでしょう。
将来的に産業保健師としてのキャリアを見据える場合は、自身に不足しているスキルや経験を補完できる職場を意識的に選択 することをおすすめします。他分野での実務経験を積む際は、常に産業保健との関連性を意識することで、より効果的なキャリア形成が可能となるでしょう。
他の分野の詳しい仕事内容に関して知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
本記事では、行政保健師や産業保健師など、働く場所に応じた保健師の役割の違いを解説し、その具体的な取り組みにも焦点を当てます。
まとめ|長い目でみて、産業保健師としてのキャリアを考えよう
新卒で産業保健師になることは難しいといわれていますが、不可能なわけではありません。産業保健師は即戦力を求められるため、学生時代からの準備や行動などで実務経験を補う方法を考えて行動することが大切で。
産業保健師は、健康管理や職場環境の改善など医療に関する知識に加え、メンタルヘルスや法律の視点を持つことが求められます。学校の授業だけでなく、インターンシップの参加や関連する資格取得など産業保健の知識やスキルを深めてみてください。
産業保健師に関する求人は限られており、競争率が高い傾向があります。アポプラス保健師では、専任のコンサルタントが求人の提案や面接対策、入社後支援などを一貫してサポートするため、経験が少ない方でも安心して就職活動を進められます。検討段階でも伴走が可能なので、ぜひ早い段階でお気軽にご相談ください。
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