【保健師】求人・転職情報保健師なら知っておきたいキャリアラダー!目的や活用意義を踏まえてわかりやすく解説
公開日:2025年05月01日

こんにちは、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームです。
「保健師としてどのような成長ステップを踏めばいいか知りたい」
「産業保健師として働いているけれど評価軸がよくわからない」
「キャリアラダーって何なのかよく理解できていない」
このような悩みを持つ人のために、アポプラス保健師のライターチームが疑問を解決する記事を執筆しました。
保健師は一人ひとりこれまでの実務経験が異なっており、成長の段階や獲得してきたスキルもさまざまです。キャリアアップを目指す際に、具体的にどのようなスキルが必要なのかもわかりにくいかもしれません。
専門性の高い職業である保健師の現場では、キャリアラダー制度の活用が進むかもしれません。キャリアラダーを導入している職場で働く人は、制度を有意義に活用することで、目標も立てやすくなるでしょう。本記事では、キャリアラダーの目的や活用意義について解説します。
目次
保健師のキャリアラダーとは?仕組みを知る

ひと口に「保健師」といっても、一人ひとりの成長段階は千差万別です。保健師としての実務経験の長さによって違いが出るだけでなく、個々がこれまでに学んできたことや実際に経験した職務の内容などによっても違ってきます。
各保健師の能力やキャリアを段階的に整理してわかりやすく示したものが、キャリアラダーです。各ステップにおける成長過程に、それぞれ必要なスキルや目標が設定されていて、一段ずつ着実に成長していけます。
たとえば、保健師に必要な専門技術では、基本的な事例への対応を主体的におこなえる能力の獲得が最初の目標です。その後、指示を受けながら複雑な事例に対処できるレベルへと進み、複雑な事例にも一人で対応できる能力獲得を目標にしていきます。
なお、キャリアとは「経歴」、ラダーとは「はしご」の意味です。保健師のキャリアラダーについて、詳しく解説します。
導入が求められる背景
ひと口に保健師といっても、資格取得までのルートやバックグラウンドはそれぞれ違うでしょう。最初から保健師課程のある大学や専門学校で学んだ方もいれば、一度看護師として働いたあとに保健師を目指す方もいます。
保健師として働き始める前の経歴、また就職後に体験した職務内容や周囲の環境などによっても、各保健師が持つスキルは異なってきます。これまでの環境の違いから、単に経験年数だけで保健師のスキルを判別することは難しいのです。
そのため、保健師に必要な能力を得て成長していくためには、キャリアごとに必要なレベルを具体的にした指標を用意しておく必要があります。成長するためにやらなくてはいけないことが明示されていれば、目標が立てやすくなるためです。
これがキャリアラダーの考え方です。「はしご(ラダー)」のようにスキルやキャリアを段階的に設定し、その目標に向かって研鑽します。設定した目標を達成できたなら次のステップへと進み、次の新しいスキルを自分のものにしていくのです。
対象・目的
キャリアラダーを導入する対象としてメリットが大きいのは、保健師や看護師といった専門性の高い職種です。医療業界以外でもキャリアラダーの導入は少しずつ進んでおり、今後はさらに一般的になってくるかもしれません。基本的には、専門性が高く部署異動があまりない職種に向いています。
職種ごとに必要なスキルを段階的に設定することで、職務に必要な能力が明確になるはずです。キャリアラダーが導入されると、保健師を育成する側も評価がしやすくなります。もちろん、評価基準が具体的にイメージできるため、保健師本人にとっても一歩ずつステップアップしやすくなるでしょう。
キャリアパスとの違い
キャリアラダーと似たものにキャリアパスがあります。キャリアラダーは成長のために必要なスキルを段階的に示したものなのに対し、キャリアパスとはスキルや経験を積み上げていく道筋のようなものです。
たとえば、保健師は若手の時期は3年ごとの異動で業務を幅広く経験し、徐々に専門性を高められる部署へと配属されます。キャリアパスは、こうした過程や道筋のことを指します。
つまり、キャリアパスはキャリアアップするためのルートであり、その過程で求められる能力を明確に示したのがキャリアラダーであるといえるでしょう。
保健師の3つのキャリアラダー

厚生労働省では、保健師のキャリア形成の過程を今まで以上に明確にするため、自治体保健師における標準的なキャリアラダーを作成しました。このなかでは、すべての保健師向けのキャリアラダーと管理職保健師に向けたキャリアラダーが示されています。
今回はこれら2つに加えて、産業保健師向けのキャリアラダーについても解説していきます。地域の方々や企業の従業員などの健康をサポートできる人材になるために参考にしてみてください。
保健師向け専門的能力に係るキャリアラダー
自治体保健師の標準的なキャリア形成のプロセスとして、保健師に必要とされる専門能力を整理したキャリアラダーを紹介します。このキャリアラダーは、保健師に必要な専門能力を得るための成長過程を5段階にわけ、組織での役割や専門技術の到達レベルを細かく示したものです。
また、保健師が活動するシーンによって大きく6つの領域にわけられます。それぞれについて詳しく紹介するため、ご自身の活動の参考にしてみてください。
専門能力獲得の5つのキャリアレベル
保健師として必要な専門能力の獲得の経過は、役割・業務範囲・専門技術の到達レベルによって5段階のキャリアレベルで把握できます。
5段階のキャリアレベルの特徴や必要な能力は、下記の通りです。
キャリアレベル | 活動領域ごとの主な特徴と必要な能力 |
---|---|
A−1 | ・保健師として働き始めたばかりの新任期 ・保健師としての自覚を持つ段階で、保健師としての基本的な視点と実践能力を獲得 |
A−2 | ・基本的な日常業務を自立しておこなえる段階 ・複雑な業務に関しては適宜指導や見守りが必要 |
A−3 | ・業務全般を把握し、複雑な業務も含めて自立して活動できる段階 ・自分の担当業務だけではなく、上司と若い世代をつなぐパイプ役など組織的な役割を担える |
A−4 | ・次期指導者としての役割を獲得する段階 ・複雑な課題に対応可能で、チームのなかでもリーダーシップをとって保健師業務を推進できる |
A−5 | ・リーダーとして指導的な役割を担う段階 ・専門職としては特定分野のエキスパートの役割を担う段階 |
A−1から、役割・業務範囲・専門技術が向上するごとにキャリアレベルが上がっていきます。実際にキャリアラダーを適用するにあたっては、保健師に求める能力を実際の業務に具体的に対応させていくことが必要になります。
実践する活動の6領域
保健師が活動するシーンは、大きく6つの領域にわけられます。それぞれの活動領域や求められる主な能力は、下記の表のとおりです。
活動領域によって、必要とされるスキルはそれぞれ異なります。キャリアレベルに合わせて、求められる能力を発揮できるようになりましょう。
管理職保健師に向けた能力に係るキャリアラダー
管理職保健師には、保健師活動の総括者として組織運営を行ったり、部下を育成し業務を円滑にしたりする管理能力が求められます。管理職保健師のためのキャリアラダーについて、詳しく解説します。
管理職能力獲得の4つのキャリアレベル
管理職保健師に向けたキャリアラダーでは、キャリアレベルを次の4段階にわけたうえで、各レベルに相当する職位が示されています。各レベルにおいて求められる主な能力も含めて、下記の表で確認しておきましょう。
キャリアレベルと相当する職位 | 各レベルにおいて求められる主な能力 |
---|---|
B−1(係長級への準備段階) | ・事業や施策の評価を踏まえ、係長に保健医療福祉政策に係る提案ができる ・有事の際にマニュアルに沿って行動し、係長を補佐する |
B−2(係長級) | ・住民の健康課題等に基づく事業化、施策化及び事業評価に基づく見直しができる ・有事に組織内の人員や業務の調整をおこない、課長の補佐や部下への指示ができる |
B−3(課長級) | ・保健医療福祉に係る国の動向や組織の方針、施策の評価を踏まえ、組織の政策ビジョンに係る提言ができる ・課員が危機管理マニュアルに沿って行動できるよう各係長級に対し、訓練等の実施を指導できる |
B−4(部局長級) | ・保健医療福祉政策に係る必要な計画や法制度整備について組織内で提言し、実現に向け組織の意志決定者及び関係機関にはたらきかけることができる ・有事に行政の保健医療福祉組織を代表して、関係機関の代表者と連携し、部局を統括して対応できる |
管理職保健師の能力獲得のキャリアラダーは、専門的能力のキャリアレベルをある程度積み上げた保健師に適用されます。
職位は組織によって名称などの違いがあるため、ご自身が所属する組織に当てはめて考えてみてください。たとえば、山形県の管理職保健師は課長級に対応しています。そのため、B−1・B−2については、いずれも管理職保健師に到達するまでの準備段階に位置づけられています。
管理的活動の3領域
管理職保健師に求められる管理的活動は、大きく3つの領域にわけられます。それぞれの活動領域や求められる能力は、下記の表のとおりです。
活動領域 | Bレベルの管理職保健師に求められる主な能力 |
---|---|
政策策定と評価 | 自組織の方針などを理解し、担当部署の活動方針のビジョンを示して必要に応じた見直しをおこなう能力など |
危機管理 | 危機の発生時に組織の管理者として迅速な判断をおこない、組織内外の調整をおこなう能力など |
人事管理 | 担当部署内の全職員の能力・特性を把握したうえで、資質向上の仕組みづくりと必要に応じた見直しをおこなう能力など |
管理職保健師になると、その活動領域はこれまでの組織内だけに留まらずさらに広い領域になります。組織における健康管理や保健指導に関して代表的な立場となり、今まで以上の責任が求められるでしょう。
なお管理職保健師のキャリアラダーでは、とくに管理職保健師に求められる能力を示しているため、一般的な管理職に必要な能力は含まれていない点に注意してください。
産業保健師向けのキャリアラダー
産業保健師は、企業内に先輩保健師がおらず一人職場といったケースも珍しくありません。所属する企業の業種によって業務内容に違いもありますが、そのようなケースでもキャリアアップに取り組みやすいよう自治体保健師のキャリアラダーを参考にするとよいでしょう。
たとえば「産業保健看護マトリックス研究会」では、保健師のキャリアラダーを参考にして産業保健師などに求められるスキルのチェックリストを作成しています。具体的には、日常の業務を滞りなく遂行できることや、報連相の徹底などのスキルを測るために利用されます。
産業保健師の研修会も開催されているため、定期的に出席して企業外の情報に触れることも大切にしてください。
保健師のキャリアラダーの活用

一人ひとりが保健師としてより成長しキャリアアップしていくためにも、キャリアラダー制度の活用はおすすめです。必要なスキルや自分に不足しているスキルが明確になり、次のステップに挑戦しやすくなるでしょう。
また保健師として自分がどこまでのレベルの業務に対応できるのか、具体的にイメージして経験を積んでいくことで、転職などをする際にもアピールしやすくなります。
なお、アポプラス保健師でも、産業保健師の求人を数多く取り扱っています。自分の能力を活かせる企業があるかどうか調べてみたいと感じたら、アポプラス保健師サイトの求人検索で一度検索してみてください。
まとめ|保健師や産業保健師はキャリアラダーを活用してキャリアアップを目指そう
専門性の高い職種である保健師にとって、キャリアラダー制度の活用はキャリアアップの道筋を把握するためにもおすすめです。今の自分にとって必要なスキルがわかりやすくなれば、目標も立てやすくなるでしょう。
長期的な視点から着実に求められるスキルを身につけていくことで、組織の内部だけではなく、他の企業でも活躍できる人材になれます。市場価値の高い保健師になるために、計画的なキャリアアップをしていきましょう。
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