【保健師】求人・転職情報産業保健師になるには?必要な資格やキャリアパスをわかりやすく解説
公開日:2025年06月25日

こんにちは、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームです。
「産業保健師の仕事内容や活動がどういったものなのか気になる......」
「どうすれば産業保健師になれるの?必要な資格や経験は?」
「キャリアアップや求人の探し方についても知りたい!」
このような悩みを持つ人のために、保健師転職のアポプラス保健師ライターチームが疑問を解決する記事を執筆しました。
企業で働く人々の健康を守る存在として注目されている「産業保健師」。働き方改革やメンタルヘルス対策の重要性が高まる中、企業内で社員の心身の健康を支える産業保健師のニーズは拡大しています。
本記事では、産業保健師の仕事内容から必要な資格、キャリアパスまでをわかりやすく解説します。看護師や保健師としてのキャリアアップを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- ・産業保健師とは?
- ・産業保健師になるために必要な資格と条件
- ・産業保健師の仕事内容と1日の流れ
- ・産業保健師の現場エピソード
- ・産業保健師のキャリアパス
- ・産業保健師の求人の探し方
- ・産業保健師のなり方に関するよくある質問(FAQ)
- ・まとめ|産業保健師になるには?必要な資格と経験をしっかり把握をしよう
産業保健師とは

産業保健師とは、企業に所属し、社員の健康を守るために活動する専門職です。一般的な保健師が地域や医療機関で保健指導を行うのに対し、産業保健師は企業内で、社員の健康管理や職場環境の改善に取り組みます。
勤務先は企業内の保健室や医務室で、社員の健康相談や体調不良への対応を行うことが多く、いわば「会社の保健室の先生」のような存在です。産業医や人事部門と連携しながら、従業員の健康づくりを支える役割を担っています。
産業保健師の特徴
産業保健師の大きな特徴は、医療機関ではなく企業というフィールドで働く点にあります。つまり、職場は病院ではなくオフィスや工場など、企業活動の現場です。
服装としては、白衣やスクラブを着用することは、ほとんどありません。企業の保健室で勤務する場合は多くの職場ではオフィスカジュアルが基本で、落ち着いた服装が好まれる傾向にあります。
私服勤務が許可されている企業では、その職場の雰囲気に合わせて、適切なスタイルを選ぶ必要があります。
産業保健師の主な活動
産業保健師の業務は多岐にわたり、企業にとって欠かせない存在だといえます。
主な活動内容は以下の通りです。
主な活動内容 | 活動内容の詳細 |
---|---|
健康診断の対応 | 健康診断結果を分析し、再検査や医療機関への受診が必要な社員にはフォローアップを行います。また、分析結果をもとに、職場の環境改善や作業管理へのアドバイスを行います。 |
ストレスチェックの対応 | 従業員の心身の健康保持のため、ストレスチェックの実施を行います。ストレスチェックは、法令により医師や保健師が行うように定められています。 |
安全衛生委員会への参加 | 産業保健師は安全衛生委員会に参加し、健康や安全に関する助言を行います。また、労働環境の問題について、改善提案を行うこともあります。 |
復職支援 | メンタル不調などで休職していた社員がスムーズに職場復帰できるようにサポートをします。社員の不安を軽減し、無理なく職場復帰ができるように寄り添った支援を行います。 |
生活習慣病の予防 | 生活習慣病をテーマとして研修やセミナーを開催し、社員の健康づくりをサポートします。また、個別で生活習慣の見直しについてアドバイスをする場合もあります。 |
上記の通り産業保健師は、健康診断から復職支援まで非常に多岐にわたる専門的な活動によって、従業員の心身の健康維持を支援しています。
出典:独立行政法人 労働者健康安全機構「産業保健師リーフレット・報告書等」
産業保健師になるために必要な資格と条件

企業で働く従業員の健康を支える専門職「産業保健師」になるためには、いくつかのステップを踏んで国家資格を取得する必要があります。以下では、具体的な資格や条件について詳しく解説します。
看護師免許の取得
産業保健師を目指すためには、看護師免許を取得することが第一歩となります。なぜなら、産業保健師に必須とされる「保健師免許」は、看護師資格を持っていることが前提とされるからです。
看護師免許を取得するための主なルートは、以下の通りです。
看護師免許取得ルート | ルートの特徴 |
---|---|
看護大学(4年制) | ・看護について、周辺知識も含めてしっかり学べる ・他のルートに比べて時間がかかるが、保健師資格を同時に取得できる学校もある |
看護短期大学(3年制) | ・大学よりも短期間で看護師国家試験を受験できる ・看護をするうえで役立つ一般教養も学べる |
看護師養成所 (3年制の専門学校) |
・実習中心で現場に強い教育が受けられる |
5年一貫教育の看護課程 | ・高校から一貫して学び、いち早く看護師資格が取得できる |
上記のいずれかのルートに進み看護師国家試験に合格することで、看護師としての資格が得られます。
保健師免許の取得が必要
看護師資格を取得したあと、次に必要なのが保健師免許の取得です。産業保健師として働くには、国家資格である保健師免許が必須とされています。
保健師免許を得るには、以下のステップを踏む必要があります。

保健師養成課程は、大学の中にある専攻コースや、1年制の専攻科(短大・専門学校など)で開講されています。内容としては、保健指導や地域保健、産業保健に関する専門知識などを学んでいきます。
保健師としての勤務経験
保健師としての実務経験があると、産業保健師への就職や転職の際に有利に働くことがあります。実際に求人情報を確認すると、「保健師経験〇年以上必須」といった応募資格や、「経験者優遇」という条件を掲げる企業も少なくありません。
実務経験は産業保健師としての経歴だけではなく、学校保健師・行政保健師としての経歴も評価される場合があります。
産業保健師以外の勤務経験については、それぞれのフィールドの違いを理解し、これまでの経験が産業保健分野でどのように活かせるのかを具体的に示すことが重要です。たとえば行政保健師の場合であれば、地域全体の健康を守ってきた視点から、企業という特定の組織で自分がどのように貢献できるかをアピールしましょう。
そのうえで、自ら産業分野へ挑戦したいという思いを明確に伝えることが重要です。経験だけでなく、仕事への姿勢や動機も企業側に評価されるポイントになります。
看護師としての臨床経験
企業が産業保健師を採用する際、「臨床経験3〜5年」を応募条件としているケースが多く見られます。とはいえ、すべての企業で臨床経験が必須というわけではなく、新卒の保健師を受け入れている企業も存在します。
実際の求人を見ても「臨床経験1年以上がある人を優遇」「臨床経験があれば尚可」といった表現があり、経験の有無が応募の可否に直結しないケースは少なくありません。そのため、病院での臨床経験がないからといって諦める必要はありません。
企業側が重視しているのは、経験だけでなく「人柄」や「人間性」、「従業員の健康を支えたいという意欲」です。たとえば、「臨床現場で多くの患者に触れる中で病気を未然に防ぎたいと考えるようになった」という志望動機は、採用につながるアピールになるでしょう。
臨床経験の必要性について詳しく知りたい場合には、以下の記事をご覧ください。
産業保健師になるためには臨床経験が必須なのか、未経験でも転職は可能なのかについて解説します。
本記事では、看護師と保健師の違いを紹介するとともに、看護師から保健師へ転職する際のポイントをお伝えします。
第一種衛生管理者
第一種衛生管理者の資格は、産業保健師として働く際にプラスとなる国家資格のひとつです。労働安全衛生法に基づき、労働者の健康を守るための衛生管理・疾病予防・作業環境の改善など、幅広い業務を担います。
50人以上の労働者がいる事業所では、必ず専属の衛生管理者を選任することが法律で義務付けられており、企業にとっては欠かせない存在です。特に第一種衛生管理者は、すべての事業所において衛生管理者として働ける資格であるため、需要が高く採用面で有利になるケースもあるでしょう。
さらに、保健師資格を持っている人は、第一種衛生管理者の国家試験を受けることなく、申請のみで免許を取得できます。申請手続きは、現在住んでいる地域を管轄する労働局で行います。
不明点があれば、最寄りの労働局へ問い合わせるとよいでしょう。以下の記事でも第一種衛生管理者の資格について紹介しているため、あわせて参考にしてください。
この記事では「衛生管理者」の役割や仕事内容、資格を取得するメリット、資格取得者に求められること、保健師がこの資格を取ることの強みを解説していきます。
産業保健師として働くのに有利な資格
産業保健師として働く際に役立つ資格には、主に下記の4つが挙げられます。
- ・健康経営アドバイザー
- ・産業カウンセラー
- ・第一種衛生管理者
- ・労働衛生コンサルタント
健康経営やメンタルヘルス、職場環境の改善といった分野で専門性を高めることで、就職やキャリアアップに有利になります。
中でも第一種衛生管理者は、保健師資格を持っていれば試験なしで取得できる点も魅力です。
産業保健師のキャリアに役立つ資格について詳しく知りたい場合には、下記の記事をご覧ください。
本記事では、産業保健師のスキルアップに役立つ資格4選を紹介し、キャリアにつながる選び方や、資格を取得するメリットも解説します。
産業保健師の仕事内容と1日の流れ

産業保健師は、従業員との健康面談・健康診断結果の確認・職場巡視・産業医との情報共有などを通じて、企業内の健康課題に幅広く対応します。
具体的な産業保健師の1日の流れを午前・午後の業務にまとめました。
【午前の業務】
- 朝礼に参加(他職種と合同)
- メール・社内連絡の確認
- 従業員との面談の実施(ストレスチェックの高ストレス者や体調不良者など)
- 健康診断の結果確認・整理
- 面談後のフォローアップ作業
【午後の業務】
- 職場巡視
- 産業医との情報共有・相談
- 今後の対応検討・計画立案
- 終業
まず午前中に朝礼の参加やメールを確認後、面談や健診結果を確認します。午後に、職場の状況確認や上司・産業医と連携し、今後の計画を立案する流れです。
近年は対面面談だけでなくWeb面談も取り入れながら、従業員の働き方に応じたサポートが求められています。なお、残業時間が少なめで、他の職種と同じ時間帯で勤務するのも特徴です。
産業保健師の具体的な仕事内容やより詳しい1日のスケジュールの流れについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
本記事では産業保健師の役割や仕事内容についてまとめました。
産業保健師の現場エピソード
産業保健師として働く中で、もっともやりがいを感じる瞬間として多くの人が挙げるのは、従業員が健康を取り戻し、再び元気に働けるようになることです。
たとえば、メンタル不調で休職していた従業員が、復職支援を通じて笑顔を取り戻し、感謝の言葉を伝えてくれたというエピソードもあります。
一方で、産業保健師ならではの苦労を感じることも少なくありません。特に「一人保健師」の職場では、限られた時間の中で幅広い業務をこなす必要があり、大きな負担となることもあります。
実際、「周囲に相談できる保健師がいなくて辛かった」という意見はよく聞きます。ただ、そのような状況であっても、上司とのコミュニケーションを密に取りながら、工夫して乗り越えている保健師も多いです。
実際の産業保健師の現場について詳しく知りたい方は、下記のインタビュー記事などを参考にしてみてください。
本記事では産業保健師インタビューをご紹介します。
産業保健師のキャリアパス

産業保健師は、企業の健康経営を支える専門職として、多彩なキャリアパスが広がっています。入職当初は健康診断や保健指導といった実務を担当しながら経験を積み、いずれはマネジメントなども任されるようになるケースもあるでしょう。
また、メンタルヘルスや感染症対策など特定分野に特化した専門保健師や、海外拠点との連携などグローバルな舞台で活躍する機会も視野に入ってくる可能性があります。企業内で昇進するだけではなく、専門家として独立・開業する道もあるでしょう。
産業保健師の求人の探し方

産業保健師として働きたいと考えても、看護師などの看護職とは異なり、求人が広く出回らないことも多く、情報収集には工夫が必要です。ここでは、産業保健師の求人を見つけるための代表的な方法を紹介します。
保健師学校経由の求人
企業にとって産業保健師は、従業員の心身の健康を守る重要な存在です。そのため、信頼できる人材を確保するために、保健師学校に直接求人を依頼するケースも少なくありません。
学校側も企業とのつながりがあるため、一般には出回っていない情報を把握していることもあります。もし産業保健師の仕事に関心があるなら、卒業した保健師学校を訪ねてみるのも一つの手です。
教員やキャリア支援担当の先生に相談すれば、信頼のおける就職先を紹介してもらえる可能性があります。
ハローワーク(公共職業安定所の活用)
あまり知られていないかもしれませんが、ハローワークにも産業保健師の求人が出ることがあります。自宅近くのハローワークで相談すれば、希望条件に合った求人を紹介してもらえたり、就職活動に関するアドバイスを受けられたりするのも魅力です。
登録は無料で、情報収集の手段として気軽に活用できるでしょう。
一般の転職サイトの活用
掲載数は多くありませんが、大手の転職サイトでも、産業保健師の求人が掲載されていることがあります。ただし、人気の高い企業や条件のよい求人は、掲載からすぐに応募が集まり、早々に締め切られてしまうこともあります。
気になる求人を見つけたら、迷わず応募することがポイントです。
保健師専用の転職エージェントの活用
産業保健師として本格的に転職を考えているなら、保健師専門の転職エージェントを活用するのがもっとも効率的です。企業側も「専門職に特化したエージェントなら安心」と考え、非公開求人を出していることも多くあります。
たとえば「アポプラス保健師」は、産業保健師の求人を多数取り扱っており、個々の希望や条件に合わせた提案をしてくれると好評です。コンサルタントがしっかりサポートしてくれるため、初めての転職でも安心して進められます。
「条件のよい求人に出会いたい」「なるべく早く内定を得たい」という方には、こうした専門エージェントへの登録こそ、きっと大きな力になるはずです。
産業保健師の具体的な求人の探し方や転職エージェントについてより詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。
本記事では産業保健師の求人を探す方法やその際に確認すべきポイントについて紹介します。
産業保健師になり方に関するよくある質問(FAQ)
産業保健師のなり方に関するよくある3つの質問について、それぞれ確認していきましょう。
産業保健師になるには、臨床経験は必須ですか?
産業保健師になるために、臨床経験は必須ではありません。企業によっては臨床経験を応募条件としている場合もありますが、新卒の保健師を受け入れている企業も存在します。企業は経験だけではなく、人柄やコミュニケーション能力、業務への意欲なども重視して採用を行っているため、未経験でも挑戦できる可能性はあります。
保健師免許以外に取得しておくとよい資格はありますか?
はい、いくつかあります。特に「第一種衛生管理者」は、保健師免許を持っていれば、申請だけで取得可能です。(試験なしで取得可能)企業によっては必須条件としている場合もあり、採用面で有利になることが多いです。
その他にも「健康経営アドバイザー」や「産業カウンセラー」などは、産業保健師としての専門性を高めるうえで有効であり、就職活動の際に役立ちます。
産業保健師の求人はどのように探せばよいですか?
保健師学校経由の求人、ハローワーク、看護師・保健師向けの転職サイトなどで探すことができます。中でも特におすすめなのが、保健師専門の転職エージェントを活用することです。非公開求人など豊富な求人を扱っており、自分に合った職場を効率的に見つけやすくなります。
産業保健師になるには?必要な資格と経験をしっかり把握しよう

産業保健師になるには、まず看護師免許を取得し、その後に保健師免許を取得する必要があります。さらに、保健師としての勤務経験や看護師としての臨床経験があると、企業への就職時に有利に働くことがあるでしょう。
また、産業保健師は「企業で働く人々の健康を支える専門職」として、職場の健康診断やストレスチェック、復職支援など幅広い業務に携わります。病院ではなくオフィスや工場など、企業の現場で働くことが多いのが特徴です。
「産業保健師になりたい」という目標をかなえるためには、必要な資格を段階的に取得しながら現場での経験を積み、自分なりのキャリアを築いていくことが大切です。今の自分にできるステップから始めて、一歩ずつ夢に近づいていきましょう。
そして、保健師のキャリアは、条件の良し悪しだけではなく、「自分のライフスタイルやキャリアプランに合っているのか」を見極めることが大事です。アポプラス保健師は、そのような課題に一緒に向き合い、あなたにちょうどいい働き方を探してくれる心強い味方になってくれるでしょう。
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